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走馬灯株式会社 第4話 妹尾 舞 ネタバレあらすじ 岡本玲 香椎由宇 ロクさん [走馬灯株式会社]

走馬灯株式会社 Disk 4 第4話 妹尾 舞(20)

ベビーベッドの中ですやすやと眠る赤ちゃんの頭を
手製のブレスレットを付けた手が優しく撫でる。



走馬灯現象・・・それは死の間際に見る記憶映像。
それが今 観られるとしたら・・・・・
走馬灯株式会社







DISC 4 妹尾 舞(20)


田中千代服飾学校のオープンキャンパスのポスターを見ながら
妹尾舞(岡本玲)は大きなため息をついていた。

ポスターを見ただけで、中に入ることはなかった。


陸橋の隅で座り込んでいる一人の男の人がいた。
大きな荷物を乗せたカートを脇に置き
汚れた服を着て、体中をかきむしりながら
通りすぎる人を見ていた。

その道を通りがかった舞。
座り込んでいるホームレスを、横目でチラリと見たが
気にも留めずに歩みを進めていた。

アロハシャツを着て、手に紙袋を下げた男の人が突然舞にぶつかった。
その拍子にガラスの割れる音がする。

「あぁぁぁぁ・・どうしてくれるんだよ!!」

髪袋の中にはワインボトルが入っていて、
ぶつかったときに落として割ってしまったようだ。


「ごめんなさい・・・」
「ごめんじゃないんだよ!高かったんだ、このワイン!!」
「弁償します・・・」
「30万だよ。」
「30万!?!?」
「ビンテージだもん。そのぐらいはするよ。」
「私、そんなに払えません・・」
「いくらなら払えるの?」


ぶつかってきた男は怒っているようにも見えるが、
その先を見越して、優しく舞の顔を覗き込みながら交渉してきた。

「ちょっと、お兄さんさぁ・・もういい加減にしておきなよ。」

陸橋の付け根の所で、
毎日のように座り込んでいる、さっき見たホームレスが声をかけてきた。
毎日決まったときに、決まった時間陸橋にいるので
アロハの男が他の女性にも同じ話をしていることを知っていた。
今回は舞に同情してくれたのか、救いの手を差し伸べてくれた。


「お譲ちゃんさ、一緒に警察に行こう。
おじさんが一緒に行ってあげるからさ。」

「ち・・ちょっと待った!今回は勘弁してやるから・・
俺もよそ見してたしな。許してやるよ。」

身に覚えがあったのか、警察沙汰にしたくなかったのか、
アロハの男はすんなりと引き下がり、足早に去っていった。


ホームレスの男は何も言わず、元いた場所に戻ろうと歩き出していた。

「ねぇ、お礼させて。
助けてくれた人には、ちゃんとお礼をしなさいって親に言われてるから・・」



近くの公園のベンチに腰をかけ、一緒にビールを飲む。
ホームレスのおじさんはノドを鳴らしてビールを飲んだ。

助けたばっかりに、余計なお金を出させたとおじさんは恐縮するが
あのままだったら30万を取られていた所だと思うと、
ビール代金ぐらいは安いものだ。

「私、瀬能舞っていうの。おじさんは?」
「・・・・ロクさん(佐戸井けん太)なんて呼ばれてる・・」

若い娘に名前を聞かれ、照れながら教えた。
助けてくれたし、一緒にビールも飲んだ・・
舞はこれから、おじさんを知り合いとして接することに決めた。


というのも、上京してきたばかりの舞は
身の上を語る友達もいなくて、さびしい思いを抱えていた。
普通に、気軽に話せる人が欲しかった・・

舞はデザイナーを志望して上京。
デザイナーの専門学校に行きたいが、
手持ちが足りずにバイトをする日々を過ごしていた。
その間にもデザイン事務所に出向き、
デッサンを見てもらうが、箸にも棒にもかからなかった。


ロクさんに見せてもわからないのはわかっていたが、
せっかくなのでロクさんにも見てもらった。


小さい時に夢で見た、自分がファッションデザイナーになっている姿・・・
その夢を夢で終わらせないためにも、デザイナーになりたかった。
そうすることが当たり前のことだと信じて、夢の体現のために頑張る。

母は舞を産んですぐに死んでしまい、父はどこにいるかもわからない。
施設に入れられて成長した舞は、親代わりの人に育ててもらった。

まくし立てるように、一気に自分のことを話した。
こんなにいっぱい人と話したのは本当に久しぶりのことだった。


ロクさんは、舞がデザイナーの話をする姿にハッとして、
執拗にお父さんのことを舞に尋ねる。
舞はいくら聞かれても
自分が赤ちゃんの時にいなくなった父のことを、覚えていなかった。

父のことを聞いてくるロクさんが不思議だったが、
バイトの時間が迫っていたので、それ以上の追及はやめにした。

「じゃ、またね。今日はありがとう。」

舞はこの場を去っていった。
ロクさんは後姿を見ながら考え事をした。
ビールを持つ その腕には、手作りのブレスレットが付いていた。


初めて会った人が助けてくれた。
自分の身の上も話し、いいお友達が出来た気分・・
世の中捨てたもんじゃないなぁ・・なんて思いながら
ちょっと笑顔で公園の中を歩いていた。


建物の裏口。
掃除道具が適当に並べられた奥にある扉に、
不似合なほど立派なネームプレートが取り付けられていた。
“走馬灯株式会社”
この不思議なネーミングに惹かれたのと、好奇心が手伝って
ドアノブに手を掛け、扉を開けた。


眩しくて目を開けていられないほどの光を受けて、
今までの人生がフラッシュバックされていく。



気が付いたら乗り込んでいたエレベータは屋上階に到着していた。
扉が開いた。おそるおそる扉の外に出ると
外では神沼が理央の到着を出迎えていた。

「妹尾舞さま、
ようこそお越しくださいました。走馬灯株式会社の神沼と申します。」


神沼(香椎由宇)は奥の部屋に舞を案内した。
ソファに腰を掛け、目の前のテーブルには
自分の名前が題名のDVDが00~20まで並べられていた。

「それでは妹尾舞さま、
あなたの20年の人生を心ゆくまで顧みてください。」

神沼はvol.00 をディスクにセットして部屋を後にした。



Vol.00は、すなわち妹尾舞の0歳の時の出来事・・
装飾関係の仕事場らしき場所の片隅に置かれたベビーベッドで眠っていた。
目を覚ました舞は、背を向けて仕事をしている男性に向かって泣きだす。

男性は少し諦めたように仕事の手を止め、舞の様子を見に来る。

「父さんな、まだ仕事中なんだ。これ食べておとなしくしててくれ。」

赤ちゃん用のお菓子を舞の口に入れながら話しかける。


この様子を見て、舞は初めて父の顔を知った。
こんな形だが、父の顔を見ることができてとてもうれしかった。
父は妹尾雅彦(辻本一樹)で、職業はファッションデザイナーのようだ。


「雅彦、この資料の衣装は出来上がってるか?」「おう!」

父は衣装を準備する。
男性はトルソーを用意して衣装を着せ、2人で最終確認をする。


2人で確認している映像を見ていて、
片方の人がロクさんに似ているように思えた。
画面に食い入るように見続けて、やっぱりロクさん本人だと思った。


デザインを書いたのはロクさんのようで、父はデザインをとても褒めている。
ロクさんもデザイナー??


赤ちゃんはいつでもすぐに眠ってしまう。
大人の自分には大事なことでも、赤ちゃんの自分ではどうでもいいこと・・
せっかくいいところでも、すぐに眠ってしまった。

目が開いている時間だけ映し出される映像を見るために
早送りをしながら見進めていく。
ロクさんが、父の首を絞めている様子が映し出された。


父の首を掴んで揺すっているように見える。
抵抗する風でもなく、力尽きたよう・・
ロクさんは手を離すと、泣きわめく舞の方に少しずつ近づいてくる。
腕を伸ばして舞にも手を掛けそうな雰囲気だった。

だが途中で近づくことを止め、部屋を出て行った。


先を見るのが怖くなり、ポーズボタンを押した。
さっき助けてくれたロクさんが、父を殺した?!
会話の中では、やたらに父のことを聞いていたし・・
もしかして、ロクさんは舞のことを知ってて近づいてきた?

怖くなった舞は、ここで再生をやめて部屋を出た。



今日もデザイン画を持ち込んで面接に挑む。
学校にも行っていない舞のデザインを採用してくれる会社はない。
それでも何とかこぎつけた面接だったが、
ロクさんのことを思い出して上の空・・
こんなことで採用はありえなかった。


ロクさんが私の父を殺した??
この考えは頭の中から消えず、トボトボと道を歩いていた。
いく先は決めずに歩いていたのに、
気が付いたら田中千代服飾学校の前に来ていた。


楽しそうに笑いながら出てくる生徒の姿を見ながら、
羨ましそうにオープンキャンパスのポスターを、今日も眺める。
生徒たちの後ろから、ロクさんが出てきた。
とっさに身構え、物陰に隠れて様子を探った。


足早に歩くロクさんを尾行する。これはただの好奇心・・

ロクさんは関わるとややこしそうなヤクザ系の男の人と会っている。

「そういう組織ならウチで紹介できるけど・・本当にいいの?
やっちまうのは簡単だけど・・・」

男はロクさんに話しをしている。
盗み聞きしている舞の姿を見つけたロクさん。
気付かれたことがわかり、舞は走って逃げだした。


何もなかったようにバイトに入った。
仕事をしていてもロクさんのことが思い出されて上の空・・
仕事が手に付かない状態・・
お客さんの顔がロクさんの顔のように見え、
感じなくてもいい恐怖をも感じてしまう・・重症だ・・



いつも座っていた陸橋に、ロクさんは今日いなかった。
会いたくなかったので都合がいい。
足早に家路を急ぐが、カートを引きずる音が聞こえてきた。
この音は、ロクさんがいつも引きずるカートの音に似ている・・・

振り返って存在を確認すると、やっぱりそこにロクさんが居た。


「来ないで!!」近づかないように警告する。

ロクさんは言われた位置に足を止め、腹巻の中に手を突っ込んだ。
あぶない道具が出てくると思い、身をすくめて抵抗しようとすると

「これ・・・・」分厚い封筒を差し出した。
「いや、あたし知ってんだから!あなたがお父さんを殺したって!!
私のことも殺そうと思って付きまとってんでしょ!!」


「黙って受け取ってくださいよ。」

舞の腕を掴み、強引に封筒を渡し、何も言わずにその場を去っていった。
ロクさんに渡された封筒の中身を確認すると、そこにはお金が入っていた・・・



「私のじゃなく、他の人のDVDも見ることができますか?」

舞はまた走馬灯株式会社に来ていた。

「ご本人と関わりのある方のものであるなら・・
一つの視点からでは見えてこない真実もあります。」


部屋に通されると、舞と景山六郎のvol.00~50のDVDが置かれていた。
とりあえず一番最近のvol.50を再生させる。


ロクさんが服飾学校から出てくる前が映し出された。
建物の中に入り、入学案内に手を伸ばす。
中を開いて入学金の案内を見る。2年で300万円ほどかかることを知った。

その足でロクさんは関わり合うのがややこしい男と会話を交わす。

「おい、おい!!本当にいいの?」
「お金が・・・いるんです・・」
「わかった。腎臓なら、一つ100万円ってところだ。」
「もう少し、何とかならないですかね?」
「腎臓じゃなくて、他のなら300万円出せるけど どう??
命の保証は・・・・ねえ。」
「お願いします。」


自分を殺そうと思って監視していると思ったのに・・
この密約はどういうこと??

さっき貰った封筒の中身を確認する。
中には300万円ほどの現金が入っていた。


お父さんとロクさんの間には、一体何があったのだろう?
不思議に思った舞は、20年前に当たる“景山六郎Vol. 31”を見ることにした。



ロクさんは父が出勤してくるのを廊下で待っていた。

「大変だ、大変なことになってるよ!!これを見てくれ・・・」
どこかのカタログに、自分たちのデザインした品が入っていた。

「ウチのデザイン画!!パクられている!!」
「これ、俺だから・・・」


有名ショップが、デザイナーとして誘いをかけていた。
このデザインは手土産のようなもの・・・

悪びれることなくロクさんに説明する父・・


「手土産って何だよ!!これは俺が書いたデザインだぞ!!」
「考えても見ろよ、お前が俺だったらどうするよ!」
「少なくともパクりなんてやんねぇよ!!!」

「そうかよ!!わかったよ!
お前が欲しいのは金だろ!わかったよ、用意してやるよ!!それでいいだろ!」
「そういうコトじゃねぇだろ!」

ロクさんは作業場に入る父の肩に手をかけた。

「こんな生活はうんざりなんだよ!!」
「俺とお前がさ、2人でこうやって会社を・・・」
「うるせぇな!!お前とは終わりなんだよ!!」

ロクさんの手を振りほどこうとして変な力が入った父・・
力の反動で足がもつれ、後ろ向きに机に激突してしまった。
打ち所が悪かったのか、名前を呼んでも返事がない。
ロクさんは慌てて近づき、父の肩の辺りを掴んで懸命に揺さぶる。

だが息を吹き返すことはなかった。

何か異変に気が付いたのか
ベビーベッドで眠っていた舞は火が付いたように泣き叫び
ロクさんは舞を抱きかかえに行こうとするが、
血が付いた腕を見てハッとし、

「ゴメン・・・・」

そのまま部屋を出て行った。



これは事故・・ロクさんは何も悪くない・・
映像は警察の姿に怯え、自殺も叶わない・・・・
そんな悲しい苦悩の日々を過ごしたロクさんの姿が映し出されていた。



ロクさんにひどいことを言ってしまった・・・
泣いている場合じゃない・・
舞は部屋を飛び出し、ロクさんに会うために走った。



息を切らして いつもの場所まで走った。
でもそこにロクさんの姿はない・・


ロクさんは苦しい息をしながらいつもの場所に帰ろうとしていた。
体が思ったように動かない・・
ベンチに腰かけ、腹巻から一枚の写真を取り出した。



舞は公園の方に駈け出した。
一緒にビールを飲んだ場所にいるかもしれない!
やっとベンチが見えた!
近づくが、やっぱりロクさんはいなかった。


大きな木の植え込みに、ぐるりと丸くベンチが作られていた。
舞が到着した裏側に座っていたロクさん・・

「舞ちゃん・・ごめんな・・俺のせいで・・・」

赤ちゃんの舞と舞の父、ロクさんの3ショットの写真だった。
写真につぶやくように懺悔して、命が尽きた・・・・


「どこに行っちゃったのよ、ロクさん!!
いなくなっちゃったら、怒ることもお礼言うこともできないじゃない!」

封筒を握りしめて涙を流した・・



数年の月日が過ぎた・・

あのロクさんからのお金を返す準備は出来ている。
机の一番下の引き出しに、大事にしまった。


舞は自分の夢を現実に変えていた。今ではショップを経営するほどに・・
買い物に来た女の子から憧れと羨望の眼差しで見られる立場だ。


「ロクさん。あたしここでずっと待ってるから・・」



神沼は出て行った舞がつけっぱなしにしているDVDを見ていた。

「ただいま!舞ちゃんお休みでしたか?
舞ちゃんは大きくなったらデザイナーさんになるんだよ。
舞ちゃんは美人さんだからモデルさんがいいかな?
やっぱりデザイナーさんだな。大きくなったら一緒に仕事しようね。」

手製のブレスレットを付けた人が、
舞の髪を優しく撫でながら話しかけている。
これが舞の夢の原点なのかもしれない・・・


神沼はここまで見るとディスクを取出し、手早く片付けを完了させた。




今回のエピソードを初めて見たときは勘違いをしていました。
ロクさんが舞の父親だと思っていたのです。
だって、出てくるシーンでは父親よりも優しいですし・・・
よく見ると他人なんですよね・・
なのに自分の命を投げ出して救済してくれる・・・

凄い人でした。

贖罪の人生が疲れてしまったのかもしれません。
最後は合わせてあげればいいのに・・意地悪だ!


これ、本当に美味しいです!


缶飲みではなく、グラスに入れると美味しさがさらに増します!






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株の講座

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
by 株の講座 (2012-09-05 15:55) 

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