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牙狼<GARO> 闇を照らす者 第10話 ネタバレ長澤奈央 大浦龍宇一 [牙狼<GARO> 闇を照らす者]
牙狼<GARO> 闇を照らす者 10話 誓 Promise
帰宅した北島遙華(高良光莉)は、バッグの中にケータイがないことに気づいた。
どこにあるかわからない状態で夜を過ごすのは心もとなく感じ、
夜の学校に忍び込んだ。
教室に滑り込み、置いて帰ったサブバッグの中を探り、机の中を探った。
「あった!!よかった~」
机の中の、教科書の下敷きになっていた。
ケータイを見つめながら安堵して、笑みがこぼれる。
いつもはにぎやかな音が響き渡る廊下、今聞こえて来るのは遙華の足音だけ・・
来るときはケータイの有無が気になって何も考えなかったが、
不気味なほど静かな学校に恐怖を感じてしまった。
少しの音にビクビクしながら、足早に歩いて帰りを急いでいた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
階段の上部から男子の叫び声が聞こえてきた。
恐怖は増し、遙華は声の方に目線を送る。
そこに映し出された影は、
口元が花が花弁をひろげるようにぱっくりと開く異形の者・・・
怖さのあまり、足早に逃げ出した。
10話 誓 Promise
ボルシティハイスクールに通う北島遙華。
昨日の恐怖が覚めず、朝一番に友達に昨日のことを話した。
「本当に、すっごい怖かったの!!」
「それって、もしかして道外流牙だったりして♪」
女子高生がネタに使うほど、流牙のことは世間に知れ渡っていた。
遥華の話もネタの一つとしか思われていないようで本気で聞いていない。
それでもまだ信じてもらおうと話す遥華は懸命に話しを続ける。
窓辺にたたずみ、ヘッドフォンで音楽を聞いていた
坪井浩輝(高杉真宙)と目が合った。
「あ!坪井のお父さんって、SG1なんだよね?」
思い出した遙華は坪井に話しかけた。
「あ~ ごめんね坪井、遙華ふざけているだけだから・・」
ヘッドフォンをつけていて遙華の話を聞いていなかった浩輝が
話を聞こうとヘッドフォンを外そうとしたとき、
先に話を聞いていた友達が話しを途中で止めた。
ヘッドフォンを着け、いつも音楽を聞いている
そんな坪井に相談してもムダだと感じていた。
ヘッドフォンは誰かに話しかけられないようにする、浩輝にとっての鎧だった。
音が流れているわけではなく、実は遙華の話は聞こえていた。
話しをするきっかけを奪われ、声をかけることができなかっただけだった。
☆
チャイムが鳴り、遠山未歩先生(長澤奈央)が教室に入って来る。
遙華はなぜか着席出来なかった。
「北島さん、どうかしたの?」
いつまでも着席しない遙華を心配して声をかけてくれた。
先生は味方してくれる!確信した遙華は話してみることにした。
「昨日の夜、学校で怪物を見たんです!本当なんです!!」
真剣に話しをしたのに、教室中が大爆笑。
「北島さん、成績優秀のあなたが冗談なんて珍しいわね。」
やっぱり誰も本当の話だと思ってくれなかった・・・
放課後。トボトボと学校を出ようとしたときに友達に声をかけられた。
変なことを口走るのは、勉強のし過ぎでストレスが溜まっているからだと
遙華を遊びに誘ってくれた。
前を歩く坪井を見た遙華。
友達の誘いを断り、坪井の方へ走り出した。
パーカーにジーンズ、目深にキャップを被り
門に隠れて、学生たちの様子を道外流牙(栗山航)が見ていた。
☆
学生たちが近くにいない場所まで遙華と浩輝は無言で歩く。
「あのね、本当に怪物を見たの!男の人の悲鳴も聞いたわ。」
不意に遙華が話し始めた。
怪物を見たのは遙華にとって衝撃が強く、
見て見ぬふりをできそうにもなかった。
少しでも心が軽くなるように、
SG1にも連絡したし、いろんな人に話した。
でも、いたずらや気のせいで片付けられてしまい
誰も本当だと信じてくれなかった。
坪井くんがSG1であるお父さんに話してくれたら
信じてもらえるのでは?と考えて坪井に話したのだった。
「俺から父さんに言ってみるよ。」
真剣な顔をして怪物のことを話す遙華を見て、肩入れしたくなった。
浩輝は真っ直ぐ遙華を見ると、静かに答えた。
「ホント!?ありがとう!坪井くんって、案外優しいんだね。」
あいさつ程度しか言葉を交わしたことがないクラスメイトが自分の味方になってくれる
遙華はとてもうれしかった。浩輝に向かって満面の笑みを見せる。
そんなほほえみで女子から見つめられたことがない浩輝は
思わず視線を外してしまった。
そんな浩輝の気持ちを知ってか知らずか、
遙華は浩輝が手に持っていたヘッドフォンを耳に当てた。
クラスの様子を知る必要のない登下校は音楽を聞いていた。
流れた曲は、シン(6話)がホラーの力を使わずに録音した“BRIGHT HOPE”
メジャーデビュー曲だった。
「カッコいいね!いい曲♪」
自分の趣味に同調してくれる初めての人が出来て浩輝は嬉しかった。
遙華のケータイが鳴り、
母親の誕生日サプライズを弟とするために帰ろうとする。
「あ・・明日!ディスクを持って行くから!!」
「うん!楽しみにしてる!!」
☆
特別な友達が出来て何だかうれしかった。
仏壇にいる母の写真に帰宅の挨拶をしながら、遙華の笑顔を思い出して笑みこぼれる。
浩輝の母は他界していた。今は父と二人で一戸建て住宅に住んでいる。
父はSG1の仕事が忙しく、泊まり込みの日々が続いていた。
一人でいるには広すぎる家だった。
「また泊まり込みになる。
明後日の三者面談には必ず行く。 父」
そっけないメモを読み、父の忙しい原因“道外流牙”を恨んでいた。
☆
次の日、教室でシンのディスクを渡そうと
頬を緩ませながら遙華の登校を、いつもの窓際で浩輝は待っていた。
始業のベルが鳴る。まだ遙華は来ていない・・
約束したのに・・・・
「え~ 授業の前にお知らせがあります。
急なことですが・・北島遙華さんが転校しました。」
遠山先生が淡々と話す。
浩輝はその言葉の意味が理解できずにいた。
「先生も残念に思っているわ。みんなによろしくと言付かっています。
じゃあ授業を始めます。ボルシティの成り立ちについて・・・・」
バケモノのことを気にして、話をしたことがない自分に話しかけてきた。
事の顛末を聞かずに転校するのは不自然過ぎた。
浩輝は放課後、遙華の家を訪ねた。
表札は外され、呼び鈴は空しく響き渡るだけ・・・
扉に手をかけると、カギはかかっておらず簡単に開いた。
ダメなことは十分承知していたが、そぉっと家の中に入った。
家具などは全く残っておらず、本当に引っ越しをしたように見える・・
諦めて帰ろうとしたとき、
残されていた荷物の隅に落ちているケータイストラップを見つけた。
(これは・・昨日弟とケータイで会話しているときに着けていたのと一緒・・)
パタン・・
誰もいない家のはずなのに、2階の扉が閉まる音がした。
ビクっと身を固くして、慌ててストラップをポケットにしまい込んだ。
ドキドキしながら2階への階段を上っていく・・
不意に扉が開いた。「うわぁぁぁぁぁ・・・・」
恐怖で上ずった声を上げた浩輝は、そこに立っている男の人を見た。
(まさか・・道外流牙!?)
殺される! 浩輝は慌てて家を飛び出し夢中で走った。
かなり遠くまで走った・・もう大丈夫・・・
電柱に手をついて荒い息を整えていると、
そこに貼られている張り紙が目に付いた。
WANTED RYUGA DOGAI ¥300.000.000- rewards
道外流牙が3億円の賞金首なのだと知った。
怖くてたまらず父に電話するが、出てくれない・・・
慌てて家に帰り、玄関の扉を厳重にして部屋中のカーテンを引いた。
追いかけられているように思い、カーテンの隙間からそーっと覗く。
門扉の前でニヤリとほほ笑む流牙の顔を見た。
こんな時1人で家に居るのが怖かった・・・・
☆
玄関のカギがカチャガチャと音を立てる。
中に侵入してくる!?浩輝は柱の影から玄関を覗いた。
部屋は明るくなり、帰って来たのは父だった。
「なんだ浩輝、まだそんなところにいたのか。勉強は済んだのか?」
「そ・・それが・・・・」
「言い訳はするな!
それから、勤務中には電話には出れないと何回言ったらわかるんだ!
行くぞ!仕度をしろ!!」
父は話しを聞いてくれなかった。
しかたがなく言われた通りジャージに着替えて庭に出た。
ラグビーのタックルの稽古が始まった。
スポーツのためというよりは、SG1の隊員のための訓練だった。
「どうした!全く気持ちが入ってないぞ!
そんな調子でSG1の隊員になれると思ってるのか?
SG1の隊員になって、みんなを守るんじゃなかったのか?」
「父さん・・あの・・・・」
父はやっぱり話しを聞いてくれなかった。
☆
「少し、自主性が足りないですね・・授業にもあまり集中していないようですし・・」
三者面談で遠山先生が話す浩輝の評価・・・
「確か進路は・・SG1隊員だったわよね?」
「わかりません・・・・」
自分の目指す姿と心のブレ・・・
進路の話を聞いていられなくなった浩輝は生徒指導室から抜け出た。
「浩輝、俺と同じSG1隊員になるんじゃなかったのか?
母さんとの約束を守らないつもりか?」
追いかけてきた父:正臣が詰問する。
「何がSG1だ!友達1人守れなかったくせに!!
母さんだって守れなかったろ!!」
妻のことを言われ、正臣は思わず浩輝の頬を打った。
「すまん・・・・」
ケータイが鳴り、召集がかかった。
「例の殺人犯を、近くで目撃したという情報が・・・すまん・・・・」
親子の話が必要なのはわかっていたが、呼び出しには応じないといけない・・・
正臣は後ろ髪惹かれる思いで仕事に向かう。
☆
用務員の格好をした流牙が浩輝を呼び止めた。
殺人犯である流牙が目の前にいる・・浩輝は恐怖を感じて逃げ出した。
感じたことのない恐怖に襲われて逃げる浩輝の身体はガチガチ・・
足がもつれて倒れてしまった。
「俺のことは知ってるね。有名になったもんだ。
君は何を知ってるんだ?何か見たのか??
待ってよ!!彼女は俺が殺したんだよ。抵抗したのでもない。
親父か・・いいもんなんだろうな。
あれ、親父さんだろ?SG1か・・・やさしいんだね。
何も知らないならさっさと帰りな!
じゃないと君も、友達の命も危ない。
彼女は怪物を見た。だから殺されてしまった・・・・
俺はそいつを追っている。
そうだ!先生にだけは怪物のことは言うんじゃないぞ!
どうせ信じてもらえないさ。」
どこまで信じてもらえるかはわからないが浩輝に警告をする。
無用な犠牲者をこれ以上出したくなかった。
後ずさって逃げる浩輝に向かって抽象的な話をしてしまったが
浩輝はどこまで信じてくれるだろうか・・・
☆
遙華は夜の学校内でバケモノを見たと言った。
夜になるとバケモノが出現する確率が上がるのだろうか・・・
とにかく証言が“遙華の言葉だけ”なので、証拠らしい証拠にもならない。
こっそりとみるぐらいなら大丈夫だと高を括る浩輝は、
校舎内に隠れて夜が来るのを待った。
☆
遙華が見たと言っている場所を隈なく見て回る。
「坪井君・・・」
背後から呼び止められた。
びっくりして振り向くと、そこには神妙な面持ちの遠山先生が立っていた。
「心配したのよ。さっきのは何かあったのね?
言ってみて。ねえ、話して見て・・
お母さんの代わりじゃないけど、
坪井君の力になれたならっていつも思ってるのよ。」
この遠山先生の話を聞いて、浩輝は籠絡した。
「北島さんの家に、残ってたんです・・・・」
先生に、遙華が昨日まで使っていたケータイストラップを見せた。
「あの・・・北島さん本当は怪物に襲われたんじゃないかって・・・」
「だってコレ!!不味かったんだもの!!!」
さっきまでと様子がいっぺんに変わった遠山先生を見て、流牙の言葉を思い出した。
「うふふ・・・あはははは・・・ あなたには消えてもらうわ!」
浩輝の肩を掴んでは投げ飛ばし、立ち上がってきた所を突き飛ばし、
少しずつ浩輝を追い込んでいく。
足をひねり上げられ、歩くこともままならないが
逃げないと殺される・・・
ポケットをまさぐってケータイを探す。
な・・ない・・・・
流牙が怖くて逃げ出していた時に落とした・・・・
ココからは距離があったが行くしかない・・
追い込まれて不安に駆られながら、ケータイが放置されている教室を目指して歩いた。
廊下の突き当たりに人の気配が・・
顔を上げると、剣を鞘から抜いた鋼牙が立っていた。
「お前、先生に話したな?」
流牙に殺されると感じた浩輝は、来た道を戻ろうとする。
そこに遠山が立っていた。挟み込まれた・・・・
流牙は剣を構えて猛ダッシュで走ってくる。
「うわぁ!!!!!」
悲鳴を上げながらしゃがむ浩輝。
その横をすり抜けて、遠山目がけて剣を下す流牙。
動きを封じ、魔導火を眼前に点けた。
照らされた眼球がホラーの陽性反応を見せる・・
「お手柄だ、おかげで誰が怪物かはっきりしたよ。」
流牙が騎士だと知った遠山は、先制攻撃を仕掛けてきた。
流牙と遠山が戦いを始める。
様子を見た浩輝は、ケータイを取りにまた歩き出した。
剣を振るのに学校の廊下は狭かった。
決定的な一打を与えられず、打撃攻撃を受けるばかり・・
「邪魔をするな!私の楽園を穢すつもりか?
私が選んだ優れた生徒だけの学校にするんだ!!」
流牙を追い込んだ遠山が憎々しげに言葉を吐いた。
☆
ケータイを見つけた浩輝。
慌てて父と連絡を取ろうとしたが、手が震えて上手くボタンが押せない・・・
コツ・・コツ・・・コツ・・・・ 靴音が浩輝の方に近づく・・
「坪井くん、最後ぐらい先生に面倒をかけないでくれる?」
ホラーの口を浩輝の眼前で開いて見せた。
怖くて後ろに下がる浩輝・・遠山は浩輝に襲いかかろうとした。
この攻撃を流牙が防ぐ。
「落ちこぼれは必要ないのよ。
北島さんは良い生徒だった。なのに、私の姿を見るから・・
おかげで、マズイあの娘の家族まで食らう羽目になった」
遠山の、奇声のような笑い声が教室内に響き渡る。
腹立たしく感じた浩輝は、父から教わったタックルを遠山にきめた。
力に差がありすぎて、浩輝は簡単に弾き飛ばされた。
「ふざけるな!!」
壁に叩きつけられて浩輝の意識が切れたのを見た流牙は、鎧を召喚した。
遠山の抵抗空しく、牙狼剣で瞬殺された。
「もっと早くお父さんに言っていれば、北島さんは・・・」
意識を取り戻した浩輝は自分の非力さを嘆く。
「でも、ちゃんと戦ったじゃないか。自分で・・
安心しな、もうここに怪物はいない。」
「また現れたら?」
「そのときは、俺をまた呼べばいいさ。」
「僕たちを、この街を守ってくれるんだね。」
「ああ、約束する。必ず守ってみせるよ。」
☆
「動くな!!!」
SG1隊員スーツを着た父が浩輝の救出に来てくれた。
父は流牙を敵だと思っている。
流牙は牙狼剣を机の上に置き、手から放した。
「浩輝、こっちへ来い!
道外流牙、連続殺人事件の容疑でお前の身柄を・・」
「父さんこの人は!!」
「お前はいいからこっちへ来い!!」
父の誤解を解きたくて、流牙の前に立ちふさがった浩輝。
浩輝の身体で、流牙が父の死角に入った。
流牙はすかさず置いていた剣を取る。
刀を手に取った音が聞こえた正臣は、とっさに浩輝を剣からかばった。
攻撃されると思い、浩輝をかばって床に伏せた正臣だったが
流牙は攻撃をしてくることなく去っていった。
「大丈夫か?お前、よく頑張ったな。」
正臣は息子にねぎらいの言葉をかける。
☆
「授業の前に、皆さんにお知らせがあります。
急な話ですが、遠山先生は昨日の夜から行方不明になっています。
現在捜索中です。」
生徒たちは 先生が駆け落ちしたとか、道外流牙に殺されたとか
道外流牙のような人殺しは死ねばいいんだとか いろんな話を始める。
「違う!!!道外流牙は人殺しなんかじゃない!!」
唯一真実を知る浩輝は、机を叩いて主張した。
だが、クラスメイト達は信じるはずがなかった・・・
学校の中にまでホラーがいました!
自分の隣ももしかしたらホラー!?なんて考えると怖いですね。
長澤奈央本人が所々で戦っていました。
気合ハンパないですね。
くすんでいてもGAROは最強ですね!
夏場は特に爪に目が行きますよね。簡単に綺麗が仕上がりますよ!
私の中の最強大浦龍宇一はコレです。
帰宅した北島遙華(高良光莉)は、バッグの中にケータイがないことに気づいた。
どこにあるかわからない状態で夜を過ごすのは心もとなく感じ、
夜の学校に忍び込んだ。
教室に滑り込み、置いて帰ったサブバッグの中を探り、机の中を探った。
「あった!!よかった~」
机の中の、教科書の下敷きになっていた。
ケータイを見つめながら安堵して、笑みがこぼれる。
いつもはにぎやかな音が響き渡る廊下、今聞こえて来るのは遙華の足音だけ・・
来るときはケータイの有無が気になって何も考えなかったが、
不気味なほど静かな学校に恐怖を感じてしまった。
少しの音にビクビクしながら、足早に歩いて帰りを急いでいた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
階段の上部から男子の叫び声が聞こえてきた。
恐怖は増し、遙華は声の方に目線を送る。
そこに映し出された影は、
口元が花が花弁をひろげるようにぱっくりと開く異形の者・・・
怖さのあまり、足早に逃げ出した。
10話 誓 Promise
ボルシティハイスクールに通う北島遙華。
昨日の恐怖が覚めず、朝一番に友達に昨日のことを話した。
「本当に、すっごい怖かったの!!」
「それって、もしかして道外流牙だったりして♪」
女子高生がネタに使うほど、流牙のことは世間に知れ渡っていた。
遥華の話もネタの一つとしか思われていないようで本気で聞いていない。
それでもまだ信じてもらおうと話す遥華は懸命に話しを続ける。
窓辺にたたずみ、ヘッドフォンで音楽を聞いていた
坪井浩輝(高杉真宙)と目が合った。
「あ!坪井のお父さんって、SG1なんだよね?」
思い出した遙華は坪井に話しかけた。
「あ~ ごめんね坪井、遙華ふざけているだけだから・・」
ヘッドフォンをつけていて遙華の話を聞いていなかった浩輝が
話を聞こうとヘッドフォンを外そうとしたとき、
先に話を聞いていた友達が話しを途中で止めた。
ヘッドフォンを着け、いつも音楽を聞いている
そんな坪井に相談してもムダだと感じていた。
ヘッドフォンは誰かに話しかけられないようにする、浩輝にとっての鎧だった。
音が流れているわけではなく、実は遙華の話は聞こえていた。
話しをするきっかけを奪われ、声をかけることができなかっただけだった。
☆
チャイムが鳴り、遠山未歩先生(長澤奈央)が教室に入って来る。
遙華はなぜか着席出来なかった。
「北島さん、どうかしたの?」
いつまでも着席しない遙華を心配して声をかけてくれた。
先生は味方してくれる!確信した遙華は話してみることにした。
「昨日の夜、学校で怪物を見たんです!本当なんです!!」
真剣に話しをしたのに、教室中が大爆笑。
「北島さん、成績優秀のあなたが冗談なんて珍しいわね。」
やっぱり誰も本当の話だと思ってくれなかった・・・
放課後。トボトボと学校を出ようとしたときに友達に声をかけられた。
変なことを口走るのは、勉強のし過ぎでストレスが溜まっているからだと
遙華を遊びに誘ってくれた。
前を歩く坪井を見た遙華。
友達の誘いを断り、坪井の方へ走り出した。
パーカーにジーンズ、目深にキャップを被り
門に隠れて、学生たちの様子を道外流牙(栗山航)が見ていた。
☆
学生たちが近くにいない場所まで遙華と浩輝は無言で歩く。
「あのね、本当に怪物を見たの!男の人の悲鳴も聞いたわ。」
不意に遙華が話し始めた。
怪物を見たのは遙華にとって衝撃が強く、
見て見ぬふりをできそうにもなかった。
少しでも心が軽くなるように、
SG1にも連絡したし、いろんな人に話した。
でも、いたずらや気のせいで片付けられてしまい
誰も本当だと信じてくれなかった。
坪井くんがSG1であるお父さんに話してくれたら
信じてもらえるのでは?と考えて坪井に話したのだった。
「俺から父さんに言ってみるよ。」
真剣な顔をして怪物のことを話す遙華を見て、肩入れしたくなった。
浩輝は真っ直ぐ遙華を見ると、静かに答えた。
「ホント!?ありがとう!坪井くんって、案外優しいんだね。」
あいさつ程度しか言葉を交わしたことがないクラスメイトが自分の味方になってくれる
遙華はとてもうれしかった。浩輝に向かって満面の笑みを見せる。
そんなほほえみで女子から見つめられたことがない浩輝は
思わず視線を外してしまった。
そんな浩輝の気持ちを知ってか知らずか、
遙華は浩輝が手に持っていたヘッドフォンを耳に当てた。
クラスの様子を知る必要のない登下校は音楽を聞いていた。
流れた曲は、シン(6話)がホラーの力を使わずに録音した“BRIGHT HOPE”
メジャーデビュー曲だった。
「カッコいいね!いい曲♪」
自分の趣味に同調してくれる初めての人が出来て浩輝は嬉しかった。
遙華のケータイが鳴り、
母親の誕生日サプライズを弟とするために帰ろうとする。
「あ・・明日!ディスクを持って行くから!!」
「うん!楽しみにしてる!!」
☆
特別な友達が出来て何だかうれしかった。
仏壇にいる母の写真に帰宅の挨拶をしながら、遙華の笑顔を思い出して笑みこぼれる。
浩輝の母は他界していた。今は父と二人で一戸建て住宅に住んでいる。
父はSG1の仕事が忙しく、泊まり込みの日々が続いていた。
一人でいるには広すぎる家だった。
「また泊まり込みになる。
明後日の三者面談には必ず行く。 父」
そっけないメモを読み、父の忙しい原因“道外流牙”を恨んでいた。
☆
次の日、教室でシンのディスクを渡そうと
頬を緩ませながら遙華の登校を、いつもの窓際で浩輝は待っていた。
始業のベルが鳴る。まだ遙華は来ていない・・
約束したのに・・・・
「え~ 授業の前にお知らせがあります。
急なことですが・・北島遙華さんが転校しました。」
遠山先生が淡々と話す。
浩輝はその言葉の意味が理解できずにいた。
「先生も残念に思っているわ。みんなによろしくと言付かっています。
じゃあ授業を始めます。ボルシティの成り立ちについて・・・・」
バケモノのことを気にして、話をしたことがない自分に話しかけてきた。
事の顛末を聞かずに転校するのは不自然過ぎた。
浩輝は放課後、遙華の家を訪ねた。
表札は外され、呼び鈴は空しく響き渡るだけ・・・
扉に手をかけると、カギはかかっておらず簡単に開いた。
ダメなことは十分承知していたが、そぉっと家の中に入った。
家具などは全く残っておらず、本当に引っ越しをしたように見える・・
諦めて帰ろうとしたとき、
残されていた荷物の隅に落ちているケータイストラップを見つけた。
(これは・・昨日弟とケータイで会話しているときに着けていたのと一緒・・)
パタン・・
誰もいない家のはずなのに、2階の扉が閉まる音がした。
ビクっと身を固くして、慌ててストラップをポケットにしまい込んだ。
ドキドキしながら2階への階段を上っていく・・
不意に扉が開いた。「うわぁぁぁぁぁ・・・・」
恐怖で上ずった声を上げた浩輝は、そこに立っている男の人を見た。
(まさか・・道外流牙!?)
殺される! 浩輝は慌てて家を飛び出し夢中で走った。
かなり遠くまで走った・・もう大丈夫・・・
電柱に手をついて荒い息を整えていると、
そこに貼られている張り紙が目に付いた。
WANTED RYUGA DOGAI ¥300.000.000- rewards
道外流牙が3億円の賞金首なのだと知った。
怖くてたまらず父に電話するが、出てくれない・・・
慌てて家に帰り、玄関の扉を厳重にして部屋中のカーテンを引いた。
追いかけられているように思い、カーテンの隙間からそーっと覗く。
門扉の前でニヤリとほほ笑む流牙の顔を見た。
こんな時1人で家に居るのが怖かった・・・・
☆
玄関のカギがカチャガチャと音を立てる。
中に侵入してくる!?浩輝は柱の影から玄関を覗いた。
部屋は明るくなり、帰って来たのは父だった。
「なんだ浩輝、まだそんなところにいたのか。勉強は済んだのか?」
「そ・・それが・・・・」
「言い訳はするな!
それから、勤務中には電話には出れないと何回言ったらわかるんだ!
行くぞ!仕度をしろ!!」
父は話しを聞いてくれなかった。
しかたがなく言われた通りジャージに着替えて庭に出た。
ラグビーのタックルの稽古が始まった。
スポーツのためというよりは、SG1の隊員のための訓練だった。
「どうした!全く気持ちが入ってないぞ!
そんな調子でSG1の隊員になれると思ってるのか?
SG1の隊員になって、みんなを守るんじゃなかったのか?」
「父さん・・あの・・・・」
父はやっぱり話しを聞いてくれなかった。
☆
「少し、自主性が足りないですね・・授業にもあまり集中していないようですし・・」
三者面談で遠山先生が話す浩輝の評価・・・
「確か進路は・・SG1隊員だったわよね?」
「わかりません・・・・」
自分の目指す姿と心のブレ・・・
進路の話を聞いていられなくなった浩輝は生徒指導室から抜け出た。
「浩輝、俺と同じSG1隊員になるんじゃなかったのか?
母さんとの約束を守らないつもりか?」
追いかけてきた父:正臣が詰問する。
「何がSG1だ!友達1人守れなかったくせに!!
母さんだって守れなかったろ!!」
妻のことを言われ、正臣は思わず浩輝の頬を打った。
「すまん・・・・」
ケータイが鳴り、召集がかかった。
「例の殺人犯を、近くで目撃したという情報が・・・すまん・・・・」
親子の話が必要なのはわかっていたが、呼び出しには応じないといけない・・・
正臣は後ろ髪惹かれる思いで仕事に向かう。
☆
用務員の格好をした流牙が浩輝を呼び止めた。
殺人犯である流牙が目の前にいる・・浩輝は恐怖を感じて逃げ出した。
感じたことのない恐怖に襲われて逃げる浩輝の身体はガチガチ・・
足がもつれて倒れてしまった。
「俺のことは知ってるね。有名になったもんだ。
君は何を知ってるんだ?何か見たのか??
待ってよ!!彼女は俺が殺したんだよ。抵抗したのでもない。
親父か・・いいもんなんだろうな。
あれ、親父さんだろ?SG1か・・・やさしいんだね。
何も知らないならさっさと帰りな!
じゃないと君も、友達の命も危ない。
彼女は怪物を見た。だから殺されてしまった・・・・
俺はそいつを追っている。
そうだ!先生にだけは怪物のことは言うんじゃないぞ!
どうせ信じてもらえないさ。」
どこまで信じてもらえるかはわからないが浩輝に警告をする。
無用な犠牲者をこれ以上出したくなかった。
後ずさって逃げる浩輝に向かって抽象的な話をしてしまったが
浩輝はどこまで信じてくれるだろうか・・・
☆
遙華は夜の学校内でバケモノを見たと言った。
夜になるとバケモノが出現する確率が上がるのだろうか・・・
とにかく証言が“遙華の言葉だけ”なので、証拠らしい証拠にもならない。
こっそりとみるぐらいなら大丈夫だと高を括る浩輝は、
校舎内に隠れて夜が来るのを待った。
☆
遙華が見たと言っている場所を隈なく見て回る。
「坪井君・・・」
背後から呼び止められた。
びっくりして振り向くと、そこには神妙な面持ちの遠山先生が立っていた。
「心配したのよ。さっきのは何かあったのね?
言ってみて。ねえ、話して見て・・
お母さんの代わりじゃないけど、
坪井君の力になれたならっていつも思ってるのよ。」
この遠山先生の話を聞いて、浩輝は籠絡した。
「北島さんの家に、残ってたんです・・・・」
先生に、遙華が昨日まで使っていたケータイストラップを見せた。
「あの・・・北島さん本当は怪物に襲われたんじゃないかって・・・」
「だってコレ!!不味かったんだもの!!!」
さっきまでと様子がいっぺんに変わった遠山先生を見て、流牙の言葉を思い出した。
「うふふ・・・あはははは・・・ あなたには消えてもらうわ!」
浩輝の肩を掴んでは投げ飛ばし、立ち上がってきた所を突き飛ばし、
少しずつ浩輝を追い込んでいく。
足をひねり上げられ、歩くこともままならないが
逃げないと殺される・・・
ポケットをまさぐってケータイを探す。
な・・ない・・・・
流牙が怖くて逃げ出していた時に落とした・・・・
ココからは距離があったが行くしかない・・
追い込まれて不安に駆られながら、ケータイが放置されている教室を目指して歩いた。
廊下の突き当たりに人の気配が・・
顔を上げると、剣を鞘から抜いた鋼牙が立っていた。
「お前、先生に話したな?」
流牙に殺されると感じた浩輝は、来た道を戻ろうとする。
そこに遠山が立っていた。挟み込まれた・・・・
流牙は剣を構えて猛ダッシュで走ってくる。
「うわぁ!!!!!」
悲鳴を上げながらしゃがむ浩輝。
その横をすり抜けて、遠山目がけて剣を下す流牙。
動きを封じ、魔導火を眼前に点けた。
照らされた眼球がホラーの陽性反応を見せる・・
「お手柄だ、おかげで誰が怪物かはっきりしたよ。」
流牙が騎士だと知った遠山は、先制攻撃を仕掛けてきた。
流牙と遠山が戦いを始める。
様子を見た浩輝は、ケータイを取りにまた歩き出した。
剣を振るのに学校の廊下は狭かった。
決定的な一打を与えられず、打撃攻撃を受けるばかり・・
「邪魔をするな!私の楽園を穢すつもりか?
私が選んだ優れた生徒だけの学校にするんだ!!」
流牙を追い込んだ遠山が憎々しげに言葉を吐いた。
☆
ケータイを見つけた浩輝。
慌てて父と連絡を取ろうとしたが、手が震えて上手くボタンが押せない・・・
コツ・・コツ・・・コツ・・・・ 靴音が浩輝の方に近づく・・
「坪井くん、最後ぐらい先生に面倒をかけないでくれる?」
ホラーの口を浩輝の眼前で開いて見せた。
怖くて後ろに下がる浩輝・・遠山は浩輝に襲いかかろうとした。
この攻撃を流牙が防ぐ。
「落ちこぼれは必要ないのよ。
北島さんは良い生徒だった。なのに、私の姿を見るから・・
おかげで、マズイあの娘の家族まで食らう羽目になった」
遠山の、奇声のような笑い声が教室内に響き渡る。
腹立たしく感じた浩輝は、父から教わったタックルを遠山にきめた。
力に差がありすぎて、浩輝は簡単に弾き飛ばされた。
「ふざけるな!!」
壁に叩きつけられて浩輝の意識が切れたのを見た流牙は、鎧を召喚した。
遠山の抵抗空しく、牙狼剣で瞬殺された。
「もっと早くお父さんに言っていれば、北島さんは・・・」
意識を取り戻した浩輝は自分の非力さを嘆く。
「でも、ちゃんと戦ったじゃないか。自分で・・
安心しな、もうここに怪物はいない。」
「また現れたら?」
「そのときは、俺をまた呼べばいいさ。」
「僕たちを、この街を守ってくれるんだね。」
「ああ、約束する。必ず守ってみせるよ。」
☆
「動くな!!!」
SG1隊員スーツを着た父が浩輝の救出に来てくれた。
父は流牙を敵だと思っている。
流牙は牙狼剣を机の上に置き、手から放した。
「浩輝、こっちへ来い!
道外流牙、連続殺人事件の容疑でお前の身柄を・・」
「父さんこの人は!!」
「お前はいいからこっちへ来い!!」
父の誤解を解きたくて、流牙の前に立ちふさがった浩輝。
浩輝の身体で、流牙が父の死角に入った。
流牙はすかさず置いていた剣を取る。
刀を手に取った音が聞こえた正臣は、とっさに浩輝を剣からかばった。
攻撃されると思い、浩輝をかばって床に伏せた正臣だったが
流牙は攻撃をしてくることなく去っていった。
「大丈夫か?お前、よく頑張ったな。」
正臣は息子にねぎらいの言葉をかける。
☆
「授業の前に、皆さんにお知らせがあります。
急な話ですが、遠山先生は昨日の夜から行方不明になっています。
現在捜索中です。」
生徒たちは 先生が駆け落ちしたとか、道外流牙に殺されたとか
道外流牙のような人殺しは死ねばいいんだとか いろんな話を始める。
「違う!!!道外流牙は人殺しなんかじゃない!!」
唯一真実を知る浩輝は、机を叩いて主張した。
だが、クラスメイト達は信じるはずがなかった・・・
学校の中にまでホラーがいました!
自分の隣ももしかしたらホラー!?なんて考えると怖いですね。
長澤奈央本人が所々で戦っていました。
気合ハンパないですね。
くすんでいてもGAROは最強ですね!
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