SSブログ

家族八景 芝生は緑  高木家編 10話 最終回 ネタバレ 感想 火田七瀬 [家族八景]

家族八景 芝生は緑 〜高木家編〜

私は、人の心が読める家政婦。

私は、人の心が読めてしまう。
心を読むとき、その人が、私にはどんな風に見えるか?
それは、その家によって様々だ。
家には、家それぞれの空気があるからなのか?

隣の市川家から、高木家に来た火田七瀬(木南晴夏)
主人の高木輝彦(大河内浩)は、ソファで新聞を読み、
妻の直子(野波麻帆)は、出かける支度をしていた。

(ったく、散財ばかりしやがって!だいたいそんなスーツ、いつ買ったんだ!!
俺は、聞いてないぞ!)

(あんたなんて、家事どころか医者の仕事すら ろくにやってないじゃない。
急患を嫌がる医者がどこにいるのよ。
四コマばっかり読んで。天気予報、競馬予想・・・
たまには、医学書でも読んだらどうなの。)

心の中で罵り合う二人。

この家では、心の声を聞くときは顔が4倍になるようだ。

(ちょっとはお隣を見習え!)
心の中なのに、2人共同じ事を言っていた。こんなところだけはシンクロしている。

隣の主人にメロメロな嫁と、隣の奥さんが気に入っている旦那。
2人は一緒に居る所を各自で妄想していた。


(芝生が青いにも程がある・・・
どんな性格の人間にも、必ずいい面と悪い面がある。
長らく家政婦をやってきたおかげで、人間学習になった。
だけど、こんな二組のような例は見たことがない。

隣同士に住む夫婦が、
お互いの長所と短所をここまではっきりと裏返しに見ているだなんて・・・

どんな誤解や錯覚にも、必ず真実が含まれているはず。
だとしたら、この4人が今のままでいることは、むしろ不道徳なことなんじゃないか・・?

実験してやろう。彼らの願望を私の手で実現させてやろう。
それが、能力者としての私の倫理だ。)


七瀬は家事をこなしながら、隣同士のペアをくっつけてみることに決めた。


輝彦からスタートさせる。
リビングで新聞を読みながら、隣の市川季子(星野真里)の動向を探る輝彦。
七瀬は輝彦の狙いをのらりくらりとかわしながら、確信へと近づける。

「向こうの奥様は本当にお気の毒。全然自分の時間がないんです。
お昼の買い物のついでに、商店街にある“ひばり”っていう喫茶店で
コーヒーを飲むのが唯一の楽しみだ。っておっしゃってました。」

病院以外で合う絶好の場所を、さりげなく聞けたと思った輝彦は嬉しくて仕方がない。
この喫茶店は、オムライスとジャージャー麺が美味しいお店。
明日の昼休みに、偶然を装って会いに行くことに決めた。


次は直子。
リビングでパックをしている直子の所にわざと顔を出した。
案の定、直子が七瀬を呼び止める。
お隣のこと、それも省吾のことを聞きたくて仕方がないようだ。

「調子はどう?お隣では忙しかったでしょう?」
直子は、とりあえずあたりさわりのない話を始めてきた。

「お隣のご主人。明日から駅前のスーパーに現場入りだそうです。」
七瀬はいきなり確信をついてみた。

欲しかった情報をすぐに聞くことができたので、直子はとても喜んだ。

「そういえば、奥様のマドレーヌをお隣のご主人がずいぶん喜んでおられました。
また、差し入れてはいかがでしょうか?」

同じものを差し入れるのも何だし・・何を差し入れにしたらいいかを七瀬に聞いて来た。
「私、おはぎ作れます。」

(現場の方に行けば、奥さんがいないのでゆっくり話ができるわ。
ななちゃんにおはぎ20人前、作らせようっと。)

自分が提案したことなので、拒否することもできなかった。


次の日の朝、おはぎを作り奥様を送り出した。
(おはぎ、大変だった…そろそろ2人が行動を起こしているときかな?
意識を追いかけてみよう。)

七瀬は、床のふき掃除の手を止めて、意識を集中させた。

輝彦は、偶然を装って喫茶店で会っていた。
季子は、突然のことでドキドキしている。

「奇遇ですなぁ。よく来られるのですか?」輝彦が、率先して話しかける。

「家にいるときはゆっくりしたいんですけれど、
主人が居ると、気が休まらなくて…」

「それはいかんですなぁ、実にいかんですなぁ…
医者としても、一人の男としても。」

話をしながら、輝彦は少しずつ顔を近づけて行く。

「どうです奥さん。近々お食事でも。」がっちりと誘ってみた。
「はい。」季子はびっくりしながらも、とても喜ぶ。

(うまく行っているようね。次は奥さんの方。)

意識を直子の方に向ける。
直子は、省吾の現場に顔を出していた。
「ななちゃんから聞いたの。はい、陣中見舞い♪朝から大変だったのよ。」

おはぎを見て、現場の人はみんな喜んだ。
「スーパーもお仕事上手く行ったんでしょ?よかったらお食事でもどうかなぁって。」
「青天の霹靂、ありがとうございます。」

(よし。こっちも順調。朝からおはぎを作ったかいがあった。)


翌日の朝。洗濯物を干している季子は浮かれ気分。
(どうしましょう。高木先生に食事に誘われてしまった。
しかも、東日本ホテルのレストラン。夢ではないかしら♪)

(うわぁ、盛り上がってんなぁ。)
あからさまに浮かれている季子の姿を見て、ふと思ってしまった。

(だけど、お食事だけで済むかしら?そんなことってあるかしら?
大人の男女が、ホテルで食事して、それだけで済むなんてことあるかしら??
新しい下着出さなきゃ。)

(あんた、どうしたいのよ。)
食事よりもその先までを想像している季子に思わず心で突っ込みを入れる。


(見たことですか。高木さんの奥さん、あなたいつも私のことバカにしてたでしょ。
無視して、いない事にして。私のこと甘く身すぎたようね。
あなたが省吾さんを追い回している間に、こっちだってやることやってやるんだから。)

輝彦に恋心を抱いているのは当てつけなのだろうか?



呼び鈴が鳴った。妄想にふける季子はもういいとして、七瀬は玄関の扉を開ける。
誰もいない。辺りをキョロキョロ見回していたら、
「奥さん!」開けた扉の奥に隠れていた省吾がひょっこりと顔を出した。

ふいをつかれた七瀬はその場で固まった。
バツの悪い思いをしてしまった省吾は、
「ななちゃん、元気?」
取り繕うように、とりあえず七瀬に声をかけ、おはぎをいれていたお重を七瀬に渡す。

「奥さん、居てはる?」直子は出かけていた。
「そうか。かまへん、かまへん。明日、ビッグチャンス待っとるしな。」
ポロリと言葉に出してしまった省吾の言葉に
「ビッグチャンス??」
知っていて、わざと質問を返してみた。

省吾は、慌てて言葉をにごす。
「これ、返しておいて。ほな、お邪魔虫。バイビー!」
相変わらずの物言いで帰って行った。
(明日は直子さんと東日本ホテルや!!もう大変!!!)

七瀬はもう一組の方も東日本ホテルだと知った。


どうすれば2組はかち合わずに済むか?七瀬は夜、お風呂に入りながら考えた。
そんな都合のいい案は浮かばない。

輝彦の方に意識を飛ばすと、季子との営みの事を考えている。
直子の方も、省吾との営みの事を考えていた。

七瀬は開き直った。
(そうなったら、そうなったで構わない。
むしろ、どんな局面になるか見ものだわ。)

事の成り行きを楽しむことにした。



いよいよ待ち合わせの時間に迫る。
ガラス製のカップを拭いていた七瀬は、意識を飛ばそうとしたときに電話が鳴った。

「もしもし、ななちゃん。うちの人そっちに戻ってなぁい?」
直子からの探りの電話だった。

また電話が鳴る。
「もしもしななちゃん。直子はそっちに戻ってるか?」
輝彦からの探り電話だった。

(うろたえてる、うろたえてる。どうやら鉢合わせしたみたいね。
さあ、これからどうなるかしら?何しろ出会った場所がホテルだもの。
大げんかになるか?それともお互いに開き直るか?)


りんごを磨いていたら、直子が家に帰ってきた。
かなり不機嫌で仏頂面をしている。

(あの女!!!!!許せない!
いつも休憩時間に情事にふけっていたんだわ。)

直子は鉢合わせした時の情景を思い浮かべていた。
季子は、省吾の顔を見ると 悲鳴をあげて泣き出す。

(うわ。勘違いしてる。)
そう、勘違い。二組ともこれが初めてのこと・・・
でも、そんなことはわからない。直子は嫉妬に駆られていた。

(2人のあの怯え方は、ただ事じゃあなかった。
だとしたら、じ、情事が終わった後だったのかしら?
それともあれからホテルの部屋に行って、
どうせ見つかったからって、度胸を据えて……)

タンスをつかんで、怒りをぶつける。

気分を落ち着けようとシャワーを浴びたが、怒りがふつふつと湧いてくる。

(にしても、あの男なんなのよ!
自分の奥さんにであった途端、不機嫌になって黙り込んで。
(一体なんなのよ。あんなの了見の狭い男だと思わなかった。)

(ずいぶん評価下がったなぁ…)
直子の思う省吾の評価の下がり方がハンパなかった。
もう憧れの人ではなくなったのだろう。

(夫が戻るまでに落ち着いた方がいいわね。
なんて言ってやろうかしら?
でも、こっちにも弱みがあるわね。向こうも私たちのことを疑っているだろうから。
むしろその方がいいかな?
そうよ!疑っているなら、疑わせておいて損はないわ。
だまっていればいいのよ。先に怒鳴った方が負けなのよ。
バカにされてたまるもんですか!
ニヤニヤ笑ってやる。
ただ夫の顔を見て、ニヤニヤ笑ってやるんだから。)

とっさに思いつかないと考えて、
直子は輝夫が帰って来たときにどうするべきかを考えた。
輝夫が帰ってくるのをドンと構えて待つことにした。


輝夫はビクビクしながら帰ってきた。
(あいつは怒ってるんだろうか?いきなり突っかかってきたらどうする?
あべこべに言い返してやろうか。
しかし、なんて気が重いんだ…なんでこんな事に……

それにしたって、あの女には幻滅した。急にメソメソ泣き出しやがって。
なぜ私は、あんな子供みたいな女にひと時だけでも関心を抱いてしまったんだ。)

(こっちも評価低!!)
輝夫の季子に対する評価の下がり方もハンパなかった。

(妻はやはり、あの男とずっと以前から関係があったのだろうか?
あの態度、きっとそうだ。あんな男のどこがいいんだ。
あの手の筋肉質な男は、セックスには淡白なんだ。
医学的な統計でも出ているんだ。
私の方が、ずっとねちっこくて良いに決まってるんだ!)

(だんまりを決め込んでやろう。私の沽券を保つには、それしかない。)

ダイニングで顔を合わせた2人。
直子は決めていた通り、輝夫に向かってニヤニヤして見せた。
輝夫も負けじとニヤニヤ返しをする

(やっぱり、そうなんだわ。)
(やっぱり、そうか。あの男と!)

(あの女、私より味が良いのかしら?)
(あんな男に、俺以上の性的能力があると思えん。)

心の中の言葉がいっぱい溜まりすぎて、
心の声を聞く時の顔がどんどん膨らんで行く。4倍以上に大きくなっていく。

(そうだ!痕跡をのこしているかもしれん!)
「お休み。」

七瀬に告げると、2人は寝室に向かった。

七瀬は眠りから覚めた。獣の声が聞こえて仕方がない。
これは獣の声ではなく、2人の嫉妬が絡まった情事の最中の声だった。

(そう、これは挑戦。そして同時に復讐でもある。
互いの肉体に衝撃を与え合う復讐。
嫉妬が、互いへの嫉妬が激しい高まりを与えて、そして……)

「愛してる。お前は俺の妻だ。」「あなたは私の主人よ。」

高みに上り詰めると果てた・・・


(負けた。今回だけは。
断ち切れそうな夫婦の絆を守るために
互いの過ちを利用してでも、性衝動を高めようとする貪欲さ。
自分には、この相手しかいないと言う事を、どうにかして自分に納得させようとする。
都合のいいすり替え。そして、中年男女の情欲に、私は、負けたんだ。)

夜暗いうちから起き出し、身支度を整える。
高木家の扉の前で一礼をし、出て行こうとした。
後ろは、市川家。

まだ朝になっていないというのに、玄関扉を季子は磨いていた。
左目の上辺りに大きなガーゼを貼っている。
だが、とても慈愛深い笑顔を浮かべていた。

季子にも一礼して、ここから離れた。


まだまだ私にはわからないような、複雑な心が人間の中にある。
私は、人の心が読める家政婦。
心を読む時に、その人がどんな風にみえるのか?
それは、その家によって様々だ。
家には、家それぞれの空気があるからなのか?
この能力は、私にとって何の意味をもつのかは、わからない。
ただ、人の心を覗くとき、そこにはいつもおどろきがある。
だから私は、これからもどこかの家で、その家族たちと生きて行くのだろう。





今まで読んでいただきありがとうございました。

家族八景。小説は読んだことがありませんでしたので、初めて内容を知りました。
七瀬はどうしてこころの中が読めて、家政婦をしているのか?
少しづつ小出しに生い立ちなどが出てきましたが、
わかるような、わからないような、ふわふわしたまま終わりになりました。
この曖昧な感じがいいのでしょうか。

まだ先に何かがありそうで、何かをやらかしそうで・・・

終盤に七瀬が暴走していきますが、こんなものでは終わらないような気がして
まだ隠しネタでも出てくるのでは?と思わされます。

何にもない、ごく普通の平凡な家庭で働くとどうなるのか??
そんなところも見たかったですね。


DVD発売が決定しました。


これがあれば家政婦いらず??




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。