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戦国男士 第20話 第20閃 堅甲 利兵  [戦国男士]

戦国男士 第20話 第20閃 堅甲★利兵

織田信長という真正顕現者が現れたことで、
太原雪斎(板尾創路)研究に拍車がかっていた。

そんな研究室に入ってきたのは今川義元(水谷 百輔)
織田信長との戦いで体はボロボロだったはずだが、2週間でほぼ回復していた。

「やつが顕現できるなんて聞いてなかったぞ!」
「そんな情報は我々にも入ってきていなかった。」

太原は織田信長が真正顕現者。産まれながらの顕現者だと義元に告げた。

「俺を顕現させてくれ。あんたの仕事は顕現を成功させることだ。
俺が実験台になる。で、顕現した俺は自分の仕事をやり遂げる。
2人共ハッピーになる。なんか問題でもある?」

顕現の薬はまだ完成していない。副作用が大きすぎて使用には至っていない。
義元の力は薬を使わなくてもまだ強くなる可能性があった。
修行をすることで、もしかしたら自らの力で顕現できるかもしれない。
太原はそう考えて、義元に修行を勧めた。


義元は修行をしてみることにした。
付き合ってくれるのは半蔵兄妹。兄の半蔵(牧原颯也)と妹の旭日(飯塚萌木)
それと徳川家康(上妻 成吾)

山道を走り込みしたり、遠くにろうそくを灯し、気の力で炎を消す特訓をしたり、
目隠しをしても気配を感じられるように、半蔵に攻撃をしてもらったりしていた。


どれもこれもパッとせず、かなり長期的な訓練が必要だと感じていた。
眠るとき、思い出すのは信長と戦った時のこと。
この戦いを思い出せばどんなつらいこともやり遂げられる気がしていた。

毎日毎日特訓を続けていくうちに、出来ないことが当たり前のようにできていた。
ちょっと自分でも信じられないほどに。
でもいくら体内の気を放出しても、顕現は出来なかった。

気を放出するたびに半蔵兄妹に、顕現のマークが現れていないかを確認させる。
どこにも出ていない・・・自己の力では顕現できないのだろうか・・

以前より絶対に強くなっている。他に足りないものは何なのだろうか?
義元が考えを巡らせているとき

「義元君ってさ、なんでそんなに顕現したいの?」
顕現にこだわり続ける義元に半蔵が聞いた。

「絶対に倒さなきゃなんないやつがいるんだ。
黒鎧っていって、そいつがどうやら世の中をひっくり返そうなんて
とんでもないことを考えている悪人なんだ。
ま、俺にはそんなの関係ねぇんだけど。」

関係がないといいながら、でもなんでここまで頑張り続けるのか??
旭日は不思議に思った。
「俺よりちょっとだけ恰好よかったんだ。最強のやつが、最高カッコいい。」

「じゃあ、カッコ良くなりたいから顕現したいんだ。」
半蔵はまだ子供。義元の真意は掴めていなかった。

「まぁ、そうだ。後は、俺にとって数少ない大切なものを守りたいっていうか・・」

「じゃぁ、私がさせてあげる!
父ちゃんは大切なものを守るために必要な修行だって言ってたんだよ。
義元くんは大切な友達だよ。」

旭日の行動を止めたい半蔵と、旭日は口論を続ける。
兄弟げんかになるほどの勢いだ。
義元には二人のケンカの理由が、いまいちよくわからなかった。

「顕現させてあげる。」旭日がきっぱりと言い切った。


旭日が“授顕の術”を執り行う。構えると、拳に紫色の気が溜まっていった。
ため込んだところで、一気に義元に向かって放出する。
右首筋が痛くて悶絶する義元だが、よく見ると顕現のマークが浮かんでいた。

まだ幼き旭日。だが、今までの修行が功を奏して、“授顕の術”は成功した。



「あんたでも墓参りをするんだ。」
命日以外の日にも墓参りをする父:氏親(下條 アトム)に声をかけた義元。
氏親が振り返り話しかけると、義元の姿がない・・・

声がした方と別の方で話を進める義元。
息子の能力がいつの間にか向上していることに驚いた。
見舞いにも行けなかったことを義元に詫びる。

「そんなの期待しちゃないよ。それより、アジト見つかったらしいじゃない。黒鎧の。」
「でも、お前・・体は・・・?」
義元はストールで隠していた首元を父に見せた。顕現のマークが現れている。

「これで少しは親父の役に立てるのか?」
「すまない・・・・・」

氏親は義元の肩を力強く握り、詫びた。



「太原、薬はまだ完成していないんじゃないのか?」
氏親は太原の研究室に、息子が顕現した薬のことを聞きに来た。

「えぇ、副作用があるうちは完成とは・・・」
「ではなぜ、義元を顕現させた。まさか、義元までもが真正顕現者だとでも言うのか?」


太原には心当たりがあった。家に帰り、子供たちをしかりつける。
「この授顕の術は誰にも知られたらいけないと言ったじゃないか!」
「でも、大切なものを守るための力だって言ったでしょ!
義元くんは大切なものを守るために必要なんだよ!」
「お前たちは何もわかっていない!」

口論を止めるように市(佐伯陽菜子)は太原を部屋に呼ぶ。


「鎧の正体は織田信長だった・・・・」
市にそう告げると黒鎧のことを語りだした。

「第六天魔会に代々受け継がれている古文書が存在して、
そこに真正顕現者の力を増幅させる仕組みが記されているの。
そして、真正顕現者が現れたとき、その者が黒鎧になる。」

「ただの、パワードスーツではなかったのか・・・」
自分の想像していたこととずいぶん違っていたらしく、感嘆の声を上げる。

「鎧は真正顕現者にしか着用することが許されていないの。」

「信長は いや、お前の兄は黒鎧で何をしようとしているのか?」

「天下布武」


“授顕の術”の存在が明るみになれば、
織田の血を引く者は実験の対象にされるに違いなかった。
太原は市に子供たちとすぐに逃げられるように準備を整えておくように言う。

「第六天魔会の血筋を持つ者の定めですから・・・・」


この二人の会話は盗聴されていた。
氏親からの指示「太原の監視」はこういう形でされていたのだった。


太原は研究室に戻り、これまでのデータを一括消去し、荷物をまとめていた。
氏親は研究室に入り、「なぜ、黙っていた。」

太原は氏親の言うことが理解できていなかったが、
さっきの盗聴をICレコーダで持っていた。すでに内容はチェック済みだ。
自分の声が入っているので言い逃れは出来ない。

顕現に関することは、すでに一個人の問題ではなく、
人類の未来を左右する重大なことだと氏親は位置づけていた。

「顕現者を生み出せる術があるというのは本当か?
お前の妻子は第六天魔の血を引いているのだな。」

「家族を巻き込むつもりもなければ、モルモットにするつもりもない。
今までこのプロジェクトでどれほどの被験者が犠牲になっているかわかっているはずだ。」
氏親にこう言われると返す言葉がなかった。



NIHON UTSUKE JUKO この会社の倉庫に乗り込んだ義元。
黒鎧が潜伏していると教えられた場所だった。

「おじゃましま~す。黒鎧くんいますか?」「くろちゃん、あそびましょ♪」
友達の家に遊びに行ったように弾んだ声で挑発をする。
現れたのは、鉄パイプやら鉄バットを持った男たち。
男たちは義元の目の前で次々と顕現していく。

「顕現者?お前ら親父の・・・・」義元は全てを悟った。

「あの時と同じじゃん。今日は酔ってねぇから強ぇぞ。」
以前捕まったのは酔っぱらっていて力が十分に出せなかったから。
今日は酔ってもいないし、顕現の力も得ていた。

義元は片っ端から仮正顕現者を倒していく。


氏親は応接室で葉巻をくわえ、明智光秀(林剛史)と密談。
「そちらの首尾はどうかね?こちらは想定外のことが続いてね、まあ、いい意味でだが。」

「でも、顕現まですると思いませんでした。いいのですか?息子さん。」
「あぁ、最後に親の愛情と言うものに触れられて、満足じゃないのか?
おかげで、ネズミのしっぽをつかむことができ、受顕者という貴重なサンプルも手に入れた。
これで、黒鎧がいなくなってくれれば・・一石二鳥というか、三鳥だ。」


話の途中で部屋の扉が開いた。そこには豊臣秀吉(波岡 一喜)が立っていた。
「お取込み中だが、邪魔させてもらうよ。」
「今日の作業は中止になった。裏切り者が発覚した。」

秀吉は明智に向かってリモコンを投げる。
「危なかったよ。おまえの荷物の中から発見していなかったら
実験中の不慮の事故としてアジトが火の海になるところだった。
おかげでネズミを見つけられた上に、仮性顕現者を一網打尽に出来そうだ。」
「その上、敵の親玉も始末できそうだし。一石二鳥というよりは三鳥だよ。」

「発火装置は他にも仕掛けてあるから。」明智は悔し紛れに脅してみせるが
「でも、あそこには既に何もない。だぁれもいない。」


秀吉は飾りとして置かれていた日本刀に手をかける。ハッタリではないマジだ。

明智は秀吉の本気のときをよく知っていた。
「ち・・ちょっと待ってくれ。」
「お前も知ってるよな。うちの親方様のやり方を。」

刀を手にし、振り向きざまに振り下ろす。
明智の死に顔を見て怖くなった氏親は
「手を組まないか?私の組織と黒鎧があれば、世界を動かすことだってできる。」

「安心しろ。これぐらいの組織、私がすぐに作り上げてやるから。」
氏親も秀吉の手にかかる。


研究室では逃げ出さないように太原は椅子に縛り付けられていた。
かつての助手たちは興味深い実験者たちを自分だけのものにしていたことで
信頼感も何もなくなっていた。

太原の処理を命ぜられた助手たちは、腕に怪しげな液体を注射しようとしていた。
警報装置が働き、けたたましい音と、ランプがクルクルと回りだした。
助手たちは危険を感じて逃げ出そうと扉を開けると、そこには黒鎧が待ち構えていた。
刀を振り上げ、助手を斬り捨てる。

太原は家に戻り、以前決めた安全な場所に行くように妻子に告げた。
盗聴されていたこともあり、場所をきちんと言わなかったがみんな承知していた。
子供たちは、自分たちのしたことがこんなに大事に発展してしまい、
父親に泣き顔を見せる。
「私が行くまで、母さんを守ってくれよ。」
優しいお父さんの顔で子供たちに話した。二人とも大きくうなずく。


太原は研究室に戻った。黒鎧と対峙
「切れ!私を生かしておけば、これから先も仮正顕現者を作り続ける。
必ず天下布武の障害となるぞ!」
太原の腹は決まっていた。

「どちらかが息絶えるまで、この無益な争いは続くのだ。
第六天魔会の宿命に終止符を打つために・・・・私を切れ。」

「子供たちと市は頼んだぞ。お前のアジトに避難させた。」

黒鎧は切腹のときの介錯人のように、背後から刀を振り下ろす。



義元が全員倒して座り込んでいると半蔵と旭日、市が倉庫に入ってきた。
「半蔵か?」
半蔵の姿を見て義元が話しかけようとしたときに、倉庫の奥が爆破された。
瞬く間に火はみんなを取り巻くように燃え盛り、市は持病の発作を起こす。

「この子たちをお願い!!」
義元は上着を脱ぐと子供たちにかけてやり、二人を抱きしめながら

「ごめんな。大切なものを守る。大層なことを言って顕現させてもらったのに、
守るどころか裏切られてた。」

炎があたりを燃やし、大きな柱が子供たちの方に向かって倒れてくる。
市は子供たちに覆いかぶさる。義元は力を振り絞って柱を止めた。
重くて腕だけでは止められず、頭も使ったために血が流れ出してきた。


黒鎧はイマガワ製薬ビルを後にする。
ビルの上階から爆発が始まり、瞬く間にビル全体が崩壊した。
今川の終焉。


「俺何やってんだろ・・信じたくなっちゃったんだよな。カッコわりいな・・・俺・・」
父に愛情を感じ、でもそれが裏切りだったこと。
でも父を信じたかった。役に立ちたかった・・・走馬灯のように頭に浮かんだ。

義元の体の力は抜けて、足から崩れ落ちた。
柱が落ちようとするところに手を出したのは黒鎧。

「黒・・・鎧・・・?」「義元くん!黒鎧だよ!倒すんでしょ?」
旭日の言葉で目を開けた義元。

「くそっ、最高にカッコいいタイミングで現れやがって・・
よしもっちパンチ・・・・」

立ち上がる力も残ってはいなかった。
最後に右手の拳で黒鎧のすねのあたりにパンチを入れる。
入れると言うよりは、弱々しく当てただけ。
そのまま息を引き取った。

市が激しくせき込む。口に当てていた手には血が付いていた。
「ごめんね。守ってやれなくて・・・・」
「兄さん。この子・・・たちを・・・」
黒鎧に最後のお願いを言いかけて息絶えた。

そこにもう一本の柱が落ちてくる。
黒鎧は全身を使って柱を止める。市の最後の頼み、子供たちを守るために・・
この柱が引き金となり大爆発が起こる。


何もかもを焼くつくした大火事。
半蔵と旭日はがれきで座り込むしかできなかった。
焼け残ったテーブルの上に黒鎧が横たわっている。

足音が少しずつ近づく。
来ると約束していた父ではなく徳川家康(上妻成吾)だった。
「行こう!僕と一緒に。僕たちで未来を創るんだ。」

家康が二人に手を差し伸べる。半蔵はためらうことなく家康の手を取った。

全ての仕事を終えた秀吉が倉庫に駆けつける。
「お前たちは、今日から私の子だ。」


横たわったまま動かない黒鎧。中に入っていたのは信長?
鎧を置いていなくなっただけなのか、子供たちを助けるために命をおとしたのか・・
何もわからない。

これが、HONNOUJI の出来事だった。




これが本能寺の変!
顕現の秘密や服部半蔵兄妹のエピソードなど
内容は盛りだくさんでした。
この番外の全後篇で、話がすっきりしたように思います。

そういえば、正宗くんは真正顕現者でしたよね?
狙われてる理由や、秀吉が正宗にこだわるのも理解できます。









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