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信長のシェフ 第8話 最終回 2/2 後編 玉森裕太 及川光博 志田未来 [信長のシェフ]

信長のシェフ 第8話 最終回 運命の料理対決!平成に帰れるのか!?
この話は分け書きしています。そのうちの2/2 後編。
ネタバレの読み物です。

1/2前編はこちら


「二種の船形タルトレットです。」

献上された菓子を、石山本願寺の毒味役が試食する。
タルトレットは明国の杓子(レンゲ)に乗せられており、
毒味役は口に運ぶ前からいぶかしがった。

「それならば、御手を汚さず召し上がることができると思います。」
「細やかな心遣い、実に良し。」

足利義昭(正名僕蔵)は
石山本願寺の有利になるようにと、わざと言葉として発した。
遥子(香椎由宇)の言葉に納得すると、毒味役は菓子を口に運んだ。


「これは………」
初めての味と食感に驚いて言葉が出ない。

「カスタードクリームという、卵黄・砂糖・小麦粉などを混ぜた
南蛮菓子の餡でございます。」

毒味役は次の菓子にも手を延ばす。
もう毒味というよりは、菓子を楽しんで食べるただの人となっている。



遥子の説明を調理しながら聞いていたケン(玉森裕太)。
カスタードクリームのタルトとモンブランのタルトを献上したのだとわかった。
竹筒の中には カスタードクリーム・モンブランペースト・タルトレット
ほぼ出来上がりの3品を持って来ていたことに驚いた。

時間的に大きな差をつけられたことに焦りを感じる。
こちらが遅れた状態で、ただ美味しいだけの菓子を献上しても勝ち目はない。


「おぉ・・これは何とも いと美味し。」
帝は菓子を一つ食べると感嘆の声を発した。

顕如は勝利を確信してほくそ笑む。
織田信長(及川光博)の顔には焦りの色が浮かんできた。


「しかし、織田方は何をしておるのやら。帝をこんなにもお待たせして・・」
義昭の言葉を聞き、秀吉はケンを睨みつけるように見つめる。

夏(志田未来)と井上(きたろう)はケンに言われた通りの下準備を終えた。

「よし始めるぞ。いざ参らん、戦国のキュイジーヌ!」



ケンはクレープパンに見立てた、平たく丸い鉄板に
小麦粉などを水で溶いたものを注ぎ入れた。
薄く広げ、少し焼色が付いた時に取り出す。

「何じゃ?あの薄ごろものようなものは??」
義昭はケンの動作を不思議そうに見つめる。

「ケン、これはいったい・・」
「クレープだよ。」
「くれーぷ???」
「バターと小麦粉を水で溶いて薄く焼いたものだ。」

クレープの意味はチヂミ 語源は縮んで波打つ
これは、さっき夏が落とした桶の波紋を見て思いついた。



「何じゃ、その質素な物は!!それで終いか?」
「いえ、まだ仕上げが残っております。」

夏にグランマニエを温めるように頼み、
みかんの皮を、りんごの皮を剥くように細長く切り始めた。

太陽が少しずつ光を失い、完全に隠れる。この時代の日食は闇が深かった。
昼間に起こる闇に、ここにいる者たちは恐怖に怯えた。


ケンは光秀が御前試合の日に日食が起きると言っていたことを思いだし
黄泉の祠の話は本当かもしれないと思った。
だが今は料理の仕上げが重要、これは絶好のチャンス!!!


「ケン!さすがわしの料理頭じゃ!天をも見方にするとはなぁ。」

信長の言葉で、一同ケンに注目する。
言葉でみんなの意識を料理の方に向けてくれた。

「いざ、参らん!!」

自分を信じ、疑いもせず勝利を確信してくれる信長の気持ちが嬉しかった。
信長が出してくれたきっかけで、
熱して火をつけたグランマニエを、剝いたみかんに注ぐ。

火が付いたグランマニエは、みかんの皮を伝いながら炎をあげて
クレープに注がれた。
日食で出来た闇のおかげで、炎が上がる様子がよく見えた。

「織田方出来ました。クレープシュゼットでございます。」


ライブ感のあるア・ラ・ミニュット(意:出来たて)は
目・耳・鼻・舌・唇など、五感の全てを刺激するデザートだった。
遙子はケンの様子を見ながら、
製菓技術はパティシエの自分が優ってると思うが、
炎を操るのは、料理人であるケンの方が上手だとつくづくと感じた。


毒味役の秀吉が一口運ぶ。
芳醇な香りと、温かな甘みに
「正に佳絶(この上なく素晴らしい)なり」とつぶやいた。

今日の寒さを逆手に取った温かな菓子を作ったケンに、
顕如は驚くしかなかった。

「これはまた・・今生味わったことのない美味!
そこの料理人、そなたの菓子は珍味嗜好の時を与えてくれた。
見事である。」



裁定が下された。
「この勝負、双方甲乙つけがたし。
よって、両者引き分けの上 条件なしで即時停戦すべし。」


信長は顕如を見つめ、ニヤリと唇を歪ませた。
その顔を見た顕如は、ようやく信長の意図に気づく。

「御意」
帝の言葉は絶対で、逆らう余地はなかった。


「今回はしてやられましたが、
次に合間見える時を楽しみにしておりますよ。織田信長。」
負け惜しみにもとれる言葉を言い捨てるように言うと
顕如はそのまま退席する。


「貴様になど、もう用はない。どこにでも行ってしまえ。」
遥子の側を通るときに、顔を合わせることなく冷たく言い放った。

顕如は遥子の気持ちを考えて、ケンが近くにいる場所で
遥子の暇を告げた。
いつまでたっても遥子は自分に心を寄せてくれることなかった。
ここが潮時・・ケンに返すことにした。






「してやられたって、
もしかしてお館様はこの引き分けを狙っておったのですか?」
「サル、わしを誰だと思っておる。城に戻って宴の準備でもしておれ。」

秀吉はこの言葉だけで満足だった。
信長は退席しようと歩き出す。

「お待ちください!お聞きいただきたいことがあります!
信長様・・ケンに暇を与えてください!!」



帝は石山本願寺からも信長からも多大な援助を受けていた。
どちら側についても、一方をひいきすることになる。
信長が提案した“料理対決”なら、食べた人物しか優劣を付けられない。
そうすることで、帝の心を引き分けに導いた。
ケンと遥子が戦っても、明らかな負けにはならないと踏んでのことだった。


「信長め!!」
「では、手はず通りに・・・」
「遥子、先の世などはどうとでも変わるものです。」
顕如は御前試合の結果次第で動けるように準備をしていた。



「ケンと遥子さんは遠い村で・・
俺たちにも行けない遠い村で愛し合った仲なんです。
信長様、ケンが遥子さんと一緒に、その遠い村に帰ることをお許しください!

ケンは・・帰らないとならないんです・・・
もう時間がない無いんです!!

ケン、黄泉の祠に行こう!今からならまだ間に合う!!」


日食の晩、平成に繋がる祠・・・
この事実は光秀と自分しか知らないと思っていたので
夏が知っていたことにケンは驚いた。

「俺に・・平成へ帰れというのか?」
「そうだ。お前は遥子さんと一緒に平成に帰れ。」

「黄泉の祠?面白い。 夏、案内せよ。」



夏が必死で懇願する姿に、事情を感じた信長は
黄泉の祠まで一緒に行ってみることに決めた。

小雪ちらつく中、黄泉の祠を目指して本能寺の敷地を歩く。

「ケン・・おぬしは帰りたいのか?」
「俺は・・・」
「はっきりと申せ!」
「遥子さんのことは思い出せました。
でもそれだけなんです。それ以外のことはまだ何も思い出してないんです。」


そんなのは向こうの世界に変えれば思い出せる・・
ケンのことを思い、ケンへの気持ちを吹っ切るためにも
ケンと遥子には平成に帰ってもらいたい・・
夏は必死でケンを説得する。


「それにまだ・・・・一緒にいたいんだ・・
夏さんとも信長様とも・・」


楓(芦名星)が信長の刀を手に空を切って現れた。
「思ったより、早かったのう。」
何かが起こると信長も見抜いていた。


僧兵たちが周りを取り囲む。狙うは信長の御首級(みしるし)

「残念じゃ・・わしもその“平成”とやらに行ってみたかった・・」

雑魚共をバッサリ斬り捨てていく信長。
「者ども、戦じゃ!!」

信長の掛け声で、控えていた兵たちが一斉に集まってきた。


「ケンよ!己の道は己で切り開くのじゃ!!全てはお前次第じゃ!!」
信長は僧兵を斬り捨てながらケンに声をかけ、ほほ笑んだ。

「夏さん・・案内してくれ。黄泉の祠へ!」ケンはようやく腹をくくった。



「この先の階段を上って聞くと、黄泉の祠だ。」
満月が冴え冴えと光る夜になり、ようやく祠の近くまで辿り着いた。
階段下まで案内したが、それ以上一緒に行く勇気はなかった。
夏は名残惜しそうにケンを見つめる。

「夏さん、俺行ってくる!」ケンは遥子に手を差し出し、固くつなぐ。

手をつないで小走りで階段を駆け上りながら、
ケンの脳裏にはこれまでに会ったみんなの顔が浮かんできた。

夏の怒った顔や笑った顔、信長が未来について語る顔など・・・
この時代にいた証が記憶の中にたくさん詰まっていた。


思い出に浸っていると、怪しい光を放つ祠が見えてきた。




ケンがいなくなり、さみしくなった台所で小さなため息をつく夏。
そんな夏の様子を見ているしかできない楓。
ケンの思うようにさせたものの、物さみしいと感じていた信長。
城の空気がめっぽう重い・・・


タッタッタッ・・・
小走りで夏の所に近づく音が聞こえる。この足音は聞き覚えがあった。
まさかと思いながら顔を上げると、そこにケンが立っていた。



ケンは祠の前にある鳥居の側で、遥子とつないでいた手を離した。
「遥子、君は平成へ帰るんだ。」
「賢一郎・・あなたは・・・??」
「ここに残る。残りたいんだ。ゴメン・・・・」

「私には止める資格も、責める資格もないから・・・」

遥子とのことを思い出したことで、余計に思いが強まった。
ケンは遥子が無事に帰れて、幸せになることを望んでいる。


そんなケンの心を知ると、一緒に帰りたいとは言えなくなってしまった・・
涙をこらえてケンに笑顔を見せると、遥子は振り向くことなく祠に走って行った。

黄泉の祠に辿り着くと、大きな光が遥子を包み込む。




「なんで!?何やってんだよ!」
「お前の所に戻って来た以外、何がある?」
楓の言葉で、ケンがまぼろしではなくここにいると理解した。

「ばか・・・・」
思わずケンの所に走り寄り、力いっぱい抱きしめた。



「なぜまだここにいる?人の好意を無にしおって。」
ケンが戻ったと知らせを聞いた光秀が、ケンに話しかけてきた。

「ごめんなさい・・」

光秀がケンを平成に帰らせたかった理由・・・
それは、いつかきっと企みの邪魔な存在になる人物だから・・

光秀は率直に「企み」があることをケンに告げた。
でも、これはただの戯言・・本気に取られても困る。
自分こそがお館様の忠実な家来だと自負していた。


(お館様はいつもケンばかりをかわいがる・・
気に食わない・・ケンもお館様も・・・)

ケンと離れ、廊下を歩きながら光秀は思った。



険しい顔つきで、遥子は歩いていた。
戦国時代に来ていた着物姿に、歩く街並みは戦国時代の市・・
遥子は平成に帰ることをやめたのか?
戦国時代がまだ遥子を求めているのか??
それは遥子にしかわからない・・・・



ケンはいつものように台所に立ち、料理を作る。
鯛を3枚におろし、キノコを炒め、鮑を殻から外す。

ケンは戦国時代に残った。これからもこの時代で生きていく。
信長には何も告げず、いつものように料理を作り運び入れた。


「鯛のア・ラ・ヴァプール ハマグリのバターソース
伊勢海老のテルミドール
鮑と白いんげん豆のサラダ仕立てです。」

ケンの姿を見たが、特に何も言葉にしなかった。
いつもと変わらず料理を口に運び入れる。

「実に奇天烈、美味じゃ。」

「今日は昨日より、明日は今日より、わしは前に進むのじゃ!
ついて参れ、ケン!」


見届けてやるんだ、この人の行く末を、この時代を・・
信長のシェフとして・・・

「いざ参らん、戦国のキュイジーヌ!」




「信長のシェフ」
ネタバレストーリーを今まで読んでくださり、ありがとうございました。
また気に入ったのがあれば呼んでください。

本能寺が出てくるたびにハラハラしてしまいましたが、
本能寺の変はまだ先の出来事のようです。
視聴率も良かったようなので、続編が期待できますね。

カンニングの竹山さんが演じる徳川家康や
ガレッジセールのゴリさんが演じる豊臣秀吉
一見ハマりそうにないキャスティングでしたが、
たぶんこんな感じの人!と思わせる演技に驚きました。

人情味あふれる織田信長を演じた及川光博もはまってましたね。

まだまだ見ていたい作品でした。

DVD発売決定してます!

改まった席に行くのに、指先のおしゃれを忘れてませんか?



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