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コドモ警視 第2話 ♯02 ネタバレ読み物 マリウス葉 [コドモ警視]

コドモ警視 第2話 ♯02 「爆弾」

校長室の扉が開き、キョロキョロと周囲を伺い見ながら
ダイヤル錠のついた大きな金庫を探し当てた。
カットソーの上に、青色ベースのチェックのシャツを羽織った少年が
ズボンのゴムでお腹に挟み止めていた、
ナイロンの中に入れられた白い塊を取りだした。



授業が終わり、今日こそは捜査会議に出席しようと
慌ててランドセルを背負う間聖四郎(マリウス葉)を、
隣の席に座っている北林ユミ(南乃彩希)が呼び止めた。

「よかったら、宿題一緒にやらない♪」

算数の問題を見せながら、ユミはそっと間に近づいた。
エリート警視の間にとって、小学校の算数は簡単だった。
ユミの目的を全く無視し、持っていた問題を取り上げる。


さらさらと答えを書き込む間を見て、

「凄い!どうやったらそんなに早く解けるの???」
目を輝かせながら聞いた。


「連立方程式を使えば、すぐさ。」
「れんりつほうていしき???」
「小学生ではまだ学ばないか・・・・・」

ともかく問題を解いたので、これでここに留まる理由もなくなった。
ユミに断りを素早く入れ、間は素早く教室を出た。



廊下に出ると、前から養護教諭・保健室の先生:高村香(釈由美子)が
頬笑みをたたえながら、こちらに向かって歩いてくる。


「高村先生!!」
「高村先生!!!」
間の担任:今野敏文(浜野謙太)と美術の先生:東原圭一(松尾英太郎)が
同時に香を呼び止めた。


東原は、香を守る騎士になりたいと願い、甲冑を付けた自画像を渡そうとする。
今野はその絵を取り上げて、丸めて廊下に投げ捨てた。

東原がそれを拾っている隙に、
お化け屋敷に行こうと、デートの申し込み!


「高村先生のことは、僕が守ります。」
「ごめんなさい。私、守られなくても大丈夫です。」

2人をさらりとかわして行ってしまった。
事の成り行きを見守った間は、
この大人げない大人たちを見なかったことにして帰りを急ぐ。


「間!間!!話があるんだ!」今野先生に呼び止められた。
担任に呼ばれたので帰るわけにはいかない・・
仕方がなく指導室に一緒に行った。



「校長室の金庫!?」
今野は校長が出張中の間、校長室の金庫番を任されていた。
今日見てみると、何者かに暗証番号が変えられていて開かなくなっていた。

「もしかして・・・中の給食費が盗まれている可能性もある。」


だとすると、それは窃盗事件なので警察の仕事。間の出番ではない。
本庁に戻るついでに捜査員を学校に回せば済む。

「おい!そんなことしたら、俺のミスが露呈するだろ!!」
今野は、自己保身のためにも警察は呼びたくなかった。


2人が話しをしている所に、東原が入ってきた。

「ここで何を?」
明らかに怪しく見えた東原は、今野に問う。

「あ・・いや、別に・・この部屋の風水を見ていたんです・・・」
ごまかしきれていないごまかし・・


東原は校長室に返還するつもりのファイルを取りに来ていて、
そのファイルを探すのに必死だった。
そっちに気を取られていて、今野の話しをきちんと聞いていなかった。


この状況で校長室に誰かが入るのは面倒すぎる・・
今野は東原からファイルを取り上げ、さっさと部屋を出るように

「悪霊退散!悪霊退散!!」
見つけたファイルで東原のお尻を叩きながら、部屋から追い出した。


「ばれたら俺の立場がヤバい・・
幸い校長は、明後日まで出張中だ。帰ってくるまでになんとかしないと・・・」
「だから、警察を・・・」
「お前が警察だろ!内緒で解決してくれよ!!
でないと、お前の秘密をバラしちゃうぞ!いいのか!!」

最後は弱点を突かれる。

「ははぁぁん・・お前一人じゃムリなんだ!
大勢で動かないと、こんな事件も解決できないんだ!!
案外頼りにならないもんなんだなぁ・・警察って。」

間の怒りに火を着けた。今野の言葉は聞き捨てならない。
「私はいい。しかし、警察を愚弄するのは許さない!」

「いいでしょう。この事件、私がわざわざ解決してあげましょう!」



コドモ警察レジェンド・ドラマシリーズ

私の名は間聖四郎。本庁のエリート警視である。
だが、犯罪組織レッドビーナスが使用した謎の毒ガスによって
子供の体になってしまった。
素性を隠して小学校に通っていたが、担任の今野に正体がばれてしまい
やむなく、学校内の事件を捜査させられることに・・・

次々に起こる校内の何事件を解決し、本庁の捜査会議に遅刻せずに行けるのか?
今日も私の背中に、警察官僚としての責務と重いランドセルがのしかかる。






コドモ警視 2話 ♯02

今野がいくら回しても、金庫は一向に開こうとしなかった。
「無駄です。4ケタの番号の組み合わせは、1万通りありますよ。」

間に言われて我に返った。聞いただけで気が遠くなる数字・・
開かない金庫のノブをガチャガチャさせながら、今野は悔しがった。

ガサ・・音が聞こえた。

「誰だ!」
今野の声を聞いて、机の下に隠れていた岡島和人(上妻成吾)が出てきた。

「あ、あの、実はさっき・・校長室に強盗が来て・・・
金庫の中の給食費を盗んでいったんです!!
むちゃくちゃ強そうで、怖そうな人でした。」


腰を抜かして驚く今野。間は岡島の話しの信ぴょう性を考えた。

「ちょっと失礼。」
間は岡島のボディチェックをする。


岡島の着ているシャツの左ひじの辺りに多量に米粒が付いていて、
そこにメモが引っ付いていた。

「強盗が置いて行ったのを、拾ったんだ。」

メモには「金庫、開ける 爆発」の文字・・
強盗が、金庫が爆発するように仕掛けて行った!?



「爆弾、怖いよ!!」
取ってつけたように岡島は怖がり、校長室から出て行った。


恐怖にいろんなことをまくし立てて話をする今野。
そんな今野をスルーして、間は今までのことを頭の中で整理した。

(確かにこれは、大人の書いた字だ。
しかし、強盗が書いたものではない・・・なぜなら強盗は・・・)


「謎は、ざっくりと解けた!ご安心を。これは脅迫状じゃありません。」
このメモの意味はまだ解らないが、校長室に強盗が入ったことだけは確かだった。


「犯人は分かりました。犯人は・・・岡島くんです。
ですから、お金は無事に帰ってきますよ。」


ワナを張るために、校長室はこのまま鍵をかけ
明日、岡島くんをしらべればいいだけのこと・・

今野はこの事件が解決したあとを妄想し始めた。
高村先生が難事件解決を喜んで、
自分のことを好きになってくれる姿が脳裏に浮かんでニヤニヤが止まらない。



間は保健室に行き、高村に説明した。
直属の上司:間に言われると断れないが、
また学校の事件に手間取っている間の協力・・・・


間が学校のことで煩わされている場合ではなかった。
本庁では今、レッドビーナスの電車爆破未遂事件で大わらわしているのは
容疑者が弁当箱にラップに包んで隠していたC4爆薬が見つかったからだった。
幸いにも未遂で済んだが、一歩間違えば大惨事・・
今こそ、間の力が必要な時・・


香が今野の気持ちを受け入れれば、間のことは話さないだろうが、
それだけは、いくら上司の命令でも出来ない相談だった。

今回の学校の事件も、口止めとして仕方がなくするのだと香は思った。


「今回は少々違う。いわば、プライドかな・・
警察をバカにされる訳にはいかない。」

「プライドを傷つけられるのには敏感なのに、
すぐ側で傷ついている女には鈍感なのね・・・」

「今の君は、保健室の先生だろ。傷の手当にも慣れているはず・・・」

コドモの姿では香の心を受け入れることはできない・・・
間は厳しく突き放すように言うと、保健室を出た。




次の日、岡島に改めて事件当日の話を聞いた。
完全に犯人だと決め込んだ今野は、激しく岡島を追及する。
岡島は、一切事実を認めようとしない。

声を荒げて自白を強要する今野。
その怒鳴り声を聞いた東原と高村も校長室にやってきた。


「ようこそ高村先生。今、窃盗犯を追いつめているところで・・・
私の華麗なる推理をお見せしましょう。」

岡島は給食費を盗もうとして校長室に入った。

金庫を開けようとモタモタしているところに、今野と間が入って来る気配に気づいた。

机の下に隠れた。

音を立ててしまい気づかれたので、強盗が来たとウソをついた。


今野は得意げに持論を語ったが、これはただの憶測・・
岡島が難癖をつけてくる。

「脅迫状の件はどうやって説明するんだ!!」
岡島は畳みかけるように今野先生を追いつめる。

「ご安心ください!!これは校長が金庫の番号を書いたメモです。
筆跡も確認済みです。」

このメモは校長が忘れないように書き留めていたもので、
メモに書かれた「金庫、開ける 爆発」の爆発がゴロ合わせになっていて
爆発=8982と推測できた。


「強盗の話は、岡島の狂言です!」
決めポーズを取って今野は言い切った。


本当の爆発は無く、この番号で金庫が開けられるはず。
さっそく間が金庫のダイヤルを回した。


扉を開き、中を見た間は眉をひそめた。
金庫の中は空っぽで、何もない?ということは、給食費もない!!


「よくも犯人扱いしてくれたな!
ボディチェックとか警察の真似事などしやがって!
先生も、生徒を信用できないなんて最低だな!」
捨て台詞を残して岡島は出て行った。



学校の事件すら解決できなかった間・・・
重い足取りで本庁に出勤する。
だがすでに捜査会議は終わっていて、残っている人もいなかった。

エレベータ前に置かれたベンチに腰を掛け、深いため息をつく。
(それにしても、給食費はどこに消えたんだろう・・・)


特殊捜査課の渡辺稔 通称ナベさん(鏑木海智)と
下山武雄 通称:イノさん(青木勁都)の2人が通りすがった

食いしん坊のイノさんは、熱々のお湯を入れたカップラーメンを手に持ち、
暑いのを我慢しながらちょこちょこと歩く。


「ご・・ごぶさたしております・・・」間が2人に声をかけると
「ごぶさたじゃねぇよ!なんで捜査会議に来ないんだよ!」イノさんはご立腹。

「電車爆発未遂の一件は、我々の方で何とかしておきました。
それより、一人で何か悩みでもあるんですか?」
ナベさんは間の様子を見て察知した。


「実は・・・」学校の一件を話そうとしたとき
「どこにいったんだ??調味料の袋がないんだ!!」
大きな一人ごとを言いながらイノさんは調味料の袋を探した。

「それなら、フタの裏についているじゃないか!灯台下暗しってやつだな。」
ナベさんはあきれながらも場所を教えた。

フタの裏・・・??灯台下暗し・・???
「・・・・!!そっか、わかったぞ!」


マンションに帰り、シャワーを済ませて気持ちを切り替えてから
ボールにご飯を入れてかき回していた。
濡れ髪に深い青色のパジャマを着たまま・・

(あのとき、岡島くんは何も隠し持ってはいなかった・・
金庫はカラだったし、外に持ち出す隙はなかった。
だとしたら、この方法しかないはずだ。)

間は最初に岡島が付けていたご飯粒と同じ量を
自分のパジャマの左ひじに付け、当時の状況を再現していた。
そこに国光信(勝地涼)から電話が入る。


国光はいつまでも捜査会議に現れない間を心配しているようで、
自分のニックネームがいつまでも付かないことの方を心配していた。
グダグダと話し続ける国光の電話を面倒に感じてさっさと切った。


その時、加湿器の蒸気を受けたレシートがはらりと落ちる・・
・・・・????

その様子を見て、給食費のありかが頭の中に浮かんだ!



次の日も岡島を校長室に呼び寄せた。東原先生と高村先生は付き添い。

「今日は、取り調べをするんじゃなくて、岡島くんに是非ごちそうをしたくて・・」
間は校長室に石油ストーブを持ち込み、ヤカンをかけた。

「ごちそう・・・?」
岡島がごちそうに食いついたとき、今野先生がお茶碗にいれたご飯を差し出した。


「うっ・・・」岡島は慌てて口を押える。
「やっぱりか、君は白いご飯が苦手だったんだな?岡島くん!」
間の推測の通り、岡島はご飯がキライで
給食に出たときはラップに包んで持ち帰っていた。

「どんなにお行儀悪い子でも、あんなに白いご飯は袖口に付かない!」
間が言い切ると、岡島はギクリとした。

この事件を起こした理由は、
岡島が頻繁に白いご飯の給食が出ることにたえられなかった。
我慢の限界が来て、給食自体を無くしたいと思うようになっていた。

そこで、みんなの給食費が無くなれば給食も無くなると考えて、
事件当日の日の給食に出た白いご飯をラップに包み
ズボンのゴムでお腹に挟み止め、校長室に忍び込み、給食費を隠そうとした。


「観念して給食費をどこに隠したのかを白状せい!!」
「いやだね。確かに僕は白いご飯は嫌いだ。でも、給食費は持ち出していない。」


「確かに、給食費ならこの部屋にありますよ。
事件当日給食に出された白いご飯といっしょにね!」
間は岡島のことを指さしながら、犯人を当てた。

米にはでんぷんが含まれている。でんぷんはアルファ化して糊になる。
この特性を利用して、ある場所に給食費を隠した・・
糊は水分を含ませると剥がれてくる・・・


「そろそろ・・・・」
間がつぶやくと、お金が天井からはらはらと舞い落ちてきた。

「君が隠した場所は、ここだ!!」
間が天井を指さすと、千円札がキレイに天井に貼り付けられていた。


岡島は逃げ出す時間がなかったのではなく、
この作業に手間取ってしまって逃げ出せなかった。

「まさに、灯台下暗しってやつですね。」
「み、みんなにはわからないんだよ!
給食で自分の嫌いな物が結構なペースで出てくる苦しさなんて!!」

「お米はな、農家の人たちが八十八日かけて作るもんなんだ。
粗末にするんじゃない。」

間の言葉におかじまはにっこりと笑った。
その様子を見た東原先生は
自分の田舎で作っている米を一緒に育てようと岡島に提案。

もしかすると、お米嫌いが治るかもしれない・・・

事件は解決し、和やかなムードになったが


「ちょっと待って!一つだけ!!
そもそも岡島くんはどうやって金庫のカギを開けたの??」
間の疑問はもっともなことだった。


「僕・・金庫を開けてないよ。
だってあのとき校長室に入ったら、机の上に給食費が置いてあったから
それをそのまま天井に貼っただけで・・・
むしろ、僕がみんなに気づかれない場所に貼ったおいてよかったですね。」

・・・・ん?ん??
根本的なところは、今野先生のうっかりミスから始まった!?
ダイヤルを開ける開けないどころか、
給食費を中に入れること自体も忘れていた!!


今回の事件も今野先生の不注意から始まったという訳・・

バツの悪い今野は校長室から逃げた。それを東原が追いかける。


「捜査会議に遅刻すると、プライドに傷がつくんじゃないの?」
香の言葉を聞いて、間は慌てて校長室を飛び出した。



やっぱり間に合わなかった・・・
国光が間を見つけて駆け寄ってくる。

「すまない・・国光・・」
「いつもうるさく言ってすみません・・
小学校と本庁の両立って、大変そうですね。」
「聞いてくれよ、国光。ウチの担任がな・・・」
「あれ?間さんも愚痴っちゃう感じですか??」

間は国光言われて気づいた。
愚痴を言うなど、今までの自分では考えられないことだった。

「いや、なんでもないんだ。それよりレッドビーナスは?」
話そうとしていた言葉を、ぐっと飲み込んだ。

「任せてください。我々特殊捜査課を信じて宿題をやっちゃってください。」




コドモの姿になり、毎日コドモと接していくうちに
間の心の扉が少しづつ開いて行ったのだろうか?
仕事サイボーグだと思っていた間に人間らしさが垣間見えるの??

貴重品を適当に部屋に置くのは危なくなってきました。
安全にガードすることが大事です。

へそくりなどは、この隠し金庫で見つからないように出来ますよ。






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