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家族八景 第7話 知と欲 あらすじ ネタバレ 鈴木一真 [家族八景]

家族八景 第7話 知と欲

火田七瀬(木南晴夏)が今回の紹介されて来たのは「山崎」家。

玄関で遠藤恵理(阿部真里)を見送るのは主人の山崎潤三郎(本田博太郎)
「先生、よろしくお願いします。シナリオお待ちしていますね。」
「うん、まあ期待しないで。つまらんものを書きたくないのよ。この年になると。」
遠藤の後ろ姿、特に網タイツを穿いた足を直視した。

アコースティックギターを直接肩から下げて家に帰って来た息子の洋司(鈴木一真)
遠藤と挨拶をし、少し世間話。
帰る後ろ姿、特に網タイツを穿いた足を見て「Oh、モウレツ」


七瀬は遠藤が帰ったとも知らずに、部屋にお茶を運んで来た。

廊下で潤三郎から、遠藤が帰ったことを聞かされるが、
淹れてきた紅茶は飲んでくれるようだ。
七瀬は紅茶に砂糖を入れ、スプーンでかき混ぜながら潤三郎を見ていた。


私は人の心が読めてしまう。心を読むとき、その人が私にはどう見えるのか?
それはその家によって様々だ。

この家では、どうやら体操着姿に見えるようだ。

(恋文かぁ…なんでも最初が肝心だからなぁ…)
主人はラブレターのことで考え事をしている。

(ん??俺の知的な苦悩に魅了されたのか?)
潤三郎は主人をジッと見ながら、ずっと紅茶を混ぜていた。

(いけない…)
と思ったときには潤三郎に声をかけられてしまった。

「もう、溶けただろう?」
「すみません。ぼーっとしていました。」
七瀬は潤三郎に紅茶を差し出す。
「おいおい、若いんだから。」

潤三郎は七瀬にキメポーズをして見せた。今でいうところのドヤ顔って感じ。
(どうだ、俺はこの角度が一番格好イイのだ!)
いくら旦那様にキメポーズをされても、
ラクダ色の肌着の上に、半袖体操着を着て、
胸には大きく“じゅんさぶろう”と名札が縫いこまれていて、
背中には、天使の羽のようなものを着け、赤白帽をかぶっていてはサマにならない。

七瀬は対応に苦慮し、目線を下に下ろした。
「君も、山崎潤三郎の名前ぐらいは知っているだろう?」
「は、はい…すみません。」
「えっ?知らないの?じゃぁ、“犬をけしかける少女” は?映画にもなったんだけど。」

「それは、何か聞いたことあるような…気がします。」
「謝られると、悲しくなるから…」

「それも、若さなのかなぁ…」
カップを手に持ち、窓辺で独り言を言いながらたそがれてしまった。
旦那様は有名な脚本家らしい。
若い頃ヒット作を連発、業界では巨匠と呼ばれている。

(若さかぁ…若さとバカさ。俺はもう、だめなのか?
もう書けないのか?何もアイデアが浮かばん。)

居間で、洋司はギターを弾き、潤三郎は新聞を読んでいた。
「あの人よく来るね。ほら、TV局の。女性で、若い遠藤さん。」

「夕飯を一緒に取る事になってね。」
「へぇ…」(二人でか?) 洋司は勘ぐったように返事をした。

「出かけるのはおっくうだ。家で飯でも食おうってなってさ。
お前も一緒にどう?」

「親父にしては珍しいね。一人のプロデューサーに入れ込むなんてさ。」
(スケベジジイめ。俺の親父だな、全く。)

「彼女はね、最近恋人と別れたばかりらしいよ。」
「へぇ、そんな事でまで話すんだ。」
(どうだ!俺もまだまだモテる。)

(親父のやつ、あの人のことを狙ってんのか?まさかな、俺の方がモテるにきまってる。)

二人の間に流れている微妙な空気は・・嫉妬?

次の日、遠藤が またやって来た。
潤三郎は遠藤を楽しませようと、オーバーリアクションで話をしていた。
遠藤は潤三郎の話を楽しそうに聞いていた。
七瀬がお茶を運び、差し出すタイミングをはかっていたとき

(どうだ。少年っぽいだろう。少年の心を忘れてない感じだろう。)
(大丈夫かしらこの人。シナリオ書けるのかしら?)

遠藤は話が面白いのかどうかも分からずに、口だけで笑っていた。
潤三郎は今の話題をどこまで引っ張るかを考えていて、
遠藤はどこまでこの話に付き合うのかを考えていた。

潤三郎は話題を引き延ばすことにし、話を膨らませる。
(イイなぁ。若い子と話すのはいいなぁ…この子と結婚して、余生を過ごすのも悪くないか。)
(もう、ダメなのかしら?この人。)

(もう、シナリオの事は忘れるか?あれこれ悩まずに。そういうのもいいなぁ…)
(俺が!のんびり暮らす?! ダメだ、渇きが足りない。
こんな事じゃダメだ。もっと飢えだよ。渇きだよ。)
(書かない俺なんてクソだ。死んだほうがマシだ。
俺は満ち足りてはダメなんだ。死ぬ恐怖を、この焦燥を、シナリオに利用できないのか?)

虚ろな表情で考えている潤三郎を見て、七瀬は心配になった。

玄関まで遠藤を見送る七瀬。
(かなり若いわね、この子。名前何て言ったっけ?七瀬…日田七瀬。)
「あのう、お幾つ?」
「七瀬です。」(しまった。)「20です。」

七瀬は心の中でされた問いかけに答えてしまった。
何事もなかったように振る舞うと、そんなに不思議だと思われなかった。

(洋司さん。こういう子がタイプだったりするのかしら?)


廊下に置かれたリクライニングチェアを揺らしながら手紙を読み、悶絶している洋司。
七瀬に見つかり慌ててポケットに手紙を隠した。

「ななちゃん、居たの?」「失礼しました。」
(手紙?えりさんから?凄く興奮してる。まさか、ラブレター??)
「今日、…」
「いらっしゃいましたよ。」「えっ?」
(いけない…)
質問が口から発せられた物ではないのに、聞く前に返事をしてしまった。


「遠藤さんですね?」「何でわかった?」
(手紙の事、知ってるのか?)

「最近、旦那様と、遠藤さんにしかお会いしていないもので。」
最もらしい言い訳を言ってごまかしたが、
友達、居ないの?と心配されてしまった。

「そんなには…」
(不憫な子だな…キレイな顔しているのに。)

洋司は自分の部屋に帰って行った。
(20だったらヤッても全然問題ないかな?)
七瀬も視野に入れているようだ。女性でありさえすれば、誰でもいいのだろうか?


遠藤は家に食事に来た。みんなで一緒にカニすきを食べる。
潤三郎は、前に遠藤にウケた犬のネタを、また繰り返し話し始めた。
遠藤は初めて聞くかのように笑い、感嘆の声をあげる。
前回聞いたときは全く記憶に残らなかったので、初めて聞いたのと同じことだった。


「この話したよね?この話、しただろ?」
潤三郎は、知らずに同じ話をしたわけでなく、ワザと同じ話をしていた。

「いやぁ、初めてみたいに聞くなぁとおもって。何度も新鮮に聞けるのって・・」

遠藤はバツが悪いので、潤三郎にビールのお酌をして話を変えようとした。
洋司のほうは、この変な空気を変えようと、七瀬に飲み物のお代わりを頼む。

「大藪満寿夫(徳井優)くん、全然こないね?」
「次は大藪も一緒にお伺いしていいですか?」
「草稿が上がったら、大藪くんも連れてきなさい。」
上司の大藪も、山崎の家に来ていいお許しが出た。


「時間なんかいくらでもあるんだから、書けばいいのに。」
「時間があれば書けるってもんじゃないんだよ。」
息子の嫌味を言われて、ムキになって言い返す潤三郎。


遠藤は、前に潤三郎が話していた “犬をけしかける少女 ”の続編を、
局長が是非ともやりたいと言っていたことを、潤三郎に話す。

潤三郎は、局長が続編の話に食いついてくれたのが嬉しかったが
「昔の自分に食わせてもらってるようじゃ、どうしょうもねえな。」と洋司が一蹴。
「それをお前が言うな!」「確かに。」

潤三郎は洋司に腹を立てているようで、でも、そんなに怒ってはなかった。
遠藤には、嫌ごとも言い合える友達のような関係に見えていた。

(何だろ?この気持ちの悪い感覚は…)
七瀬はこの2人の上辺をなぞるような会話が気持ち悪かった。


潤三郎は、七瀬に自分の隣に座るように言い、ビールをお酌してくれた。
(何だろう、この親子の感じ…)
七瀬はこの違和感を言い表せる言葉が、まだ見つからなかった。


遠藤は洋司に、脚本家の息子だと、学校何かでいろいろ聞かれるのかを聞いていた。
「私の名前を出して、ずいぶんナンパしたらしいじゃないか?
聞いたよ。お前が連れてきた彼女から。聞いたのは学生の頃だったかな?」

それなら20年も前の話。七瀬はまだ産まれていない。
「そうか、20年も前のなら、跡形もないか。」
潤三郎が20年の長さをしみじみ思っていたら、

「跡形というのは、なくなった物に使うんじゃないの?
昔はあったけど、今はない物にさ。」
洋司が言葉のチョイスを指摘する。

「時間がただ真っ直ぐに流れるならね。
俺は最近時間というのは、
湖みたいにただそこにあるものなんじゃないかってね。思っているんだよ。」

潤三郎が思う時間の概念を説明し続けるが、
遠藤と洋司は話を聞かずに、机の下で指を絡める。性的高ぶりを感じていた。

(この2人の感覚、恋愛に似てるんだ。それで気味が悪いんだ。)

さっきからずっと思っていた違和感の意味が分かった七瀬。
これまではそんなに感じなかったのに、それぞれのいろんな欲望や感情があふれ出てきて、
お酒ではなく、感情に酔いそうになった。

このままだと倒れそうで危ない。七瀬はその場を離れた。


お風呂の中で、“人が持つ、強烈に強い感情がある。”この事実を受け止めていた。
自分の能力は危険なのかもしれない。
もし、人の感情を無抵抗に受け入れていたら、自分が消えてしまう・・・
七瀬はそんな気がした。怖い。


お風呂から上がり自分の与えられた部屋に行く途中、洋司の部屋があった。
いつもはすぐ寝てしまうのに、まだ電気が付いている。
中から女性の声・・・?

七瀬は洋司の部屋を隙間から覗くと、遠藤が洋司の部屋にいた。

2人は抱き合う。(ちょっと強引過ぎない?)
突然に抱きついてきた洋司を、ちょっと拒絶する。

(あれ?何だよ。あんな熱烈なラブレター書いてきたくせに。)
(何この人。私のこと何だと思ってんの!あんなロマンチックなラブレター書いておいて。)

(何だよこいつ。もう我慢できん。)

洋司は強引に遠藤を押し倒した。遠藤は観念してされるがままになっていた。

(ラブレター???二人とも相手から誘われたと思っている?)
七瀬は、また変な違和感を感じていた。


(洋司のやつ。洋司のやつ。)おかしい?潤三郎の心の声が聞こえる。
(俺の女。洋司のやつ。俺の女…)

声が気になって、もう一度洋司の部屋を覗く。

洋司の部屋の隅には、隣の部屋と繋がった小さな穴が開いていた。
そこから潤三郎は息子の情事を覗いていた。

(これだ。この感情の高ぶりだ!これこそ欲望なのだ。
飢えと恐怖。そして、これは焦燥と悲しみだ。
身を焦がすような憧れだ。そうだ!もっと激しく!もっとだ!!)

自分の女だと思っている遠藤が息子と寝ている。
嫉妬にも似た感情が、潤三郎を高みに持っていく。


次の日の朝になっていた。
原稿に向かって一心不乱に鉛筆を走らせ続ける潤三郎。

(人間を突き動かすのは欲望なのだ。私の欲望は埃を被ってしまっていただけだ。
知識や技術でそれが欲望に降り積もって固まってしまったんだ。
そうだ、そんな物削り取って捨ててしまえ。)

七瀬は潤三郎の部屋を階段途中の隙間から覗いていた。
遠藤がお風呂を使うために階段を降りてくる。
七瀬はなにも言わずに一礼した。

洋司も七瀬と同じ所で執筆の様子を覗き見る。
「あんな親父、何年かぶりに見たよ。」七瀬に話しかける。

「まるで、何かに取り憑かれたみたいです。」
芸術の発露を初めてみた七瀬は圧倒されていた。

「あれが親父だよ。親父は化け物だ、芸術に身を捧げた。ね。」
「俺とあいつ、寝たんだ。昨日。何でだと思う?」

「愛し合ってたから?」
七瀬が恋愛における当たり前の感情を話すと、洋司は首を横に振った。

「親父が、仕組んだんだよ。」
「えっ!」(やっぱり…)

「俺とあいつに、熱烈なラブレター書いてさ。意味がわかんないだろ?
ラブレターを書いて、俺たちがそうするように仕向けたんだ。」
「どうしてそんな…」

「俺にもさっぱりわかんないよ。でも、よかったんだよ。ああなるためにさ。」

(必要だったんだ。欲望にくべる薪のようなものが。)
潤三郎の行動の理由がわかった。七瀬は妙に納得する。

(名作だ。これは名作になる。)
原稿を書きながら、潤三郎は名作が生まれる予感がしていた。

(これが芸術に身を捧げた姿。なんだか神々しくも見える。
これからどんなシナリオができるのか、完成したものが見たい。)
潤三郎の芸術は爆発していた。


シナリオが完成して、すぐに大藪と一緒に来た遠藤。
机の上には「知と欲」と書かれたシナリオが置かれていた。


大藪はシナリオをもらってすぐに読んだが、全く意味がわからなかった。
表現が抽象的すぎたのが原因らしい。
もう少し、軽妙でポップな作品の方が、潤三郎には合う。という助言をする。

・・・つまりは、ボツ。

七瀬はお茶を運びに来て、シナリオがボツだと知った。
あの情熱が…あまりに驚いて、固まってしまった。




学習能力が高そうで、意外と自分の状況に溺れやすい七瀬。
とうとう7話まで来てしまいましたが、
七瀬に安住の地は見つかるのでしようか?

今回の食事がお鍋。
今シーズンは毛ガニ、食べてなかったなぁ・・・なんて思ってしまいました。


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