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信長のシェフ 第5話 2/2 後編 ネタバレ ストーリー 星野真理 お市 [信長のシェフ]

信長のシェフ 第5話 平成のシェフがスパイに!!信長の妹を暗殺せよ!?
この話は分け書きです。そのうちの2/2 後編。
ネタバレの読み物となっています。

1/2 前編はこちら

第5話 2/2 後編

ケン(玉森裕太)は牢から引きずり出された。
連れて来られた場所の匂いが懐かしく思われる・・
処刑場じゃない??
目隠しを不意に外され周りを見渡すと、台所だった。

「ケン、薬となる料理を作ってください。
肉が嫌いな者に、肉を食べさせる料理です。」

台所でケンが来るのを待っていたお市の方様()が
ケンに料理を作るように命じた。
食材を見回しながら、ケンは持ってきた包丁がないことに気づいた。

「そなたは信用ならん。手だけで作れ!」


手だけで料理を作る!?
慌ててお市様を見るが、お市様は小さくうなづくだけ・・
これ以上は望めないのだと悟った。

「作る相手は?料理はその人のために作るのです。
その人の心を思い、その人の心に寄り添い、そうして料理を作るのです。」

台所から出て行こうとするお市様の背中に問うた。
驚いて足が止まり、「茶々です・・・」とだけ教えてくれた。



食材を前にして考える。
茶々・・幼い子供への料理・・・
何を作れば喜んでくれるのだろうか・・?
肉嫌いの子供に肉を食べさせる料理・・
我が子を思う、母の心・・・・


一つの料理がひらめいた。
鴨を見つめながら、素材と骨格の構造が理解できていれば
手でもおろせるはずだと考えた。

自分の両手を見つめながら
「いざ参らん、戦国のキュイジーヌ!」
自分の能力を信じて、料理に取り掛かる。


羽を取った鶏肉の胸骨に添って爪を入れる。
傷が入れば手でむしりとることは簡単だった。
胸肉を骨から外し、モモ肉を取りだす。

取りだした身の部分をすり鉢に入れて、すりつぶしていく。

(この課題をクリアすれば、解放されるのか??そんなに甘くはないはずだ・・
今はこの料理に賭けるしかない。)



出来上がった料理を運び入れる。
台の上に乗せられた料理には鍋が被せてあった。
無礼なことだと家臣の者に怒鳴られるが、
これは茶々の前で開けることに意義があった。

その様子を察した長政は、この無礼を許した。
ケンは茶々の前に台を置き、茶々がワクワクしている様子を確認してから
静かに鍋を開けた。

立ち上る湯気の中から、見たこともない料理が目に飛び込んだ。
茶々は歓喜の声をあげ、料理に目が釘付け!

「戦国お子様ランチ 鴨肉の鉄板ハンバーグ
むかごのフライトえんどう豆のソテー添え あんず味噌ソースでございます。」


料理の香ばしいにおいが立ち込め、ここにいる皆の注目を集めた。
ケンは長政かお市のどちらかに先に食べるように願い出る。

お市が箸でハンバーグを取り、口に運んだ。
熱々の料理に驚いたが、それよりも格別な味でとても美味しかった。
微笑みながら料理のことを話す
お市の顔を見ていた茶々は、たまらずに口を開けておねだりした。

料理をおねだりしたのは初めてで、市はとてもうれしかった。
茶々の口に運ぶと、吐き出しもせずに飲み込んだ。

「美味!!美味!!!」
無邪気に喜ぶ茶々は、もう一口催促した。

この様子をみて長政が驚いた。

「小さなお子様には、食べることよりも、
まず料理そのものに興味を持ってもらわなければいけません。」

熱々の鉄板に乗せて出すことで、迫力のある湯気の動きを見せ
付けあわせの色鮮やかさや、小さく山にしたご飯には浅井家の旗を立て
視覚的な演出をした。
最初に近しい人が美味しそうに食べている姿を見せたことで
それを食べてみたいと思わせる効果もあった。

肉を吐き出してしまうのは、肉の臭みに耐えられないからで、
ハンバーグには山百合の根を合わせて練り込み、臭みを軽減させた。
鉄板は加熱温度が低いと、肉の匂いが強まるので熱々にし
肉の嫌いな方でも食べやすくなる。


そこまで食べる人の事を考えて料理を作る物なのだと市は知った。
「このハンバーグとやらは、薬になるのですか?」

見た目や味は合格点でも、薬にならなければ効果なし・・
不安そうにケンに聞いてみた。
ケンは異国の言葉で薬の成分と思われる名前を列挙して、
畳みかけるように話した。

その自信に満ちた顔と声に“偽りなし”と判断した。

(母親が我が子の健康を願う気持ち、それはいつの時代も同じだ・・)
嬉しそうに食べ進める茶々の顔を見て、健やかな健康を願った。

「美味しい!どうもありがとう。」
満面の笑みでケンにお礼の言葉をいう茶々。


「茶々」この幼子が、後に天下人豊臣秀吉の側室となる「淀殿」であった。






「殿!!朝倉殿、大依山に到着なされました。」伝令が入った。
長政より出陣の命が下される。
ケンは茶々専属の料理人として召し抱えることにし、
戦いが終わるまでは牢に戻されることとなった。


「市、心配は無用。このような時だからこそ、平時の時のように暮せ。」
不安な顔をする市に、いつものように告げた。



浅井軍は朝倉軍の援軍と合流するため、大依山に進軍した。
信長の密偵が、大依山に灯る灯りを見つけていた。
これは、朝倉の援軍が浅井のところまで到着したと考えられた。

報告を聞いた信長は、しばし頭の中で考えをまとめてから
「長政が来るか・・・討ちとってくれるわ!」

後には引けない戦いが始まろうとしていた。
夏は戦の準備をしている所に忍び込み、刀を一振り拝借した。
造兵となり、ケンを探しに行くつもり・・・


こっそりとバレないように持ち出したのに、楓には行動が読まれていた。
どうしてもケンの所に行きたい夏は、持ち出した刀を楓に向かって抜こうとした。
2人の間に緊迫した空気が流れる。

楓は何があっても夏に手を出すつもりはなかった。
戦いを知らぬ者を戦いの中に放りこむわけにはいかない・・

「お前はここにいろ。お前の大切な男を連れて帰る。」
夏の耳元でささやくように決意を告げると、そのまま戦場に消えて行った。



浅井・朝倉連合軍と、織田・徳川連合軍の戦が始まろうとしていた。
両軍が向かう決戦の場所は「姉川」



長政が出兵してから、ケンは市の命で牢から出してもらえた。
家臣が警護についているために、2人で話をすることができない。
市は家臣たちを言いくるめ、部屋から出した。


「お市様、俺は茶々さまの料理人にはなれません。
信長様の元に帰らないといけないんです。俺は信長様のシェフなんです。」
帰れるように口添えしてもらおうと、お市の方様に頼んだ。

市はケンの側まで近寄ると、いつも身につけている懐刀を抜いた。
ケンののど元近くに刃を向け

「ケン、これを使って、私を盾にして逃げなさい。」懐刀をケンに握らせた。

助ける名文が見つからない。でも助けたい・・
一番乱暴な形でしか方法がなかった。
市は懐刀を持つ手に無理やり首を近づけ、襲われている風に装った。
冷静なものが見ると、狂言なのがすぐにバレてしまう・・
市の首に向けた刃は逆さま・・・

「何をする!」大声を上げて家臣たちを無理に呼び寄せた。
「来るな!動くな!!!お前たちが一歩でも動くと、お市様の命はない!」
市の気持ちを嬉しく思い、ケンはこの狂言に乗っかることにした。


家臣たちから逃れ、どこに逃げればいいのかを考えていた。
屋敷の周りを見回しているケンの手を取り、
市は裏口から城を抜け出す道を教えてくれた。
追ってから逃れるために、一生懸命山道を下る・・


「あ、あの・・これ・・・」ケンはお市の方様に懐刀を返した。
「あなたには、こちらの方が必要ですね。」
市はケンが持ってきていた包丁を袂から取り出して渡した。


安全に逃げられる場所まで市は連れて来てくれた。
「お市様、なぜ俺を逃がしてくれるのですか?」別れ際に問いかけた。

「わたくしには、ハンバーグの説明が半分もわかりませんでした。
理解出来ぬというのは、辛いものですよ。」


長政は、心の底から信長を慕っていた。
市の目から見てもわかるほど、心酔していた。
長政の「長」の字は信長から一字もらったもので、
それを誇らしく思っていた。

共に天下統一を果たすことを夢見ていた。

長政は信長と接するうちに、
少しずつ信長のことが理解できないようになっていった。
それが不安となり、心の奥に溜まっていった。

「朝廷から与えられた地位に、何の意味がある?
天下とは、もっと先にあるものじゃ・・・」
この信長の言葉が決定的だった。

理解できないという不安が、心を揺らしながら蝕んでいく・・・
それが少しずつ「不信」となっていった・・
それでも、信長と共に戦うことだけは心に誓っていた。

それなのに、信長の方が約束を破った・・・朝倉への進軍・・・
相談をしてくれると思っていた長政は、信じて疑わなかった。
進軍に偽りはない・・そう知って落胆した長政・・・・


「信長様は、長政殿の裏切りを最初は信じようとなさいませんでした。」
ケンは市の話を聞き、その時の状況を話し出した。

「朝倉方の仕組んだ策、長政ではない。」
きっぱりと言い切った信長がとても印象的だった。

「信長様も、長政殿を信じて大切に思っていたのでしょう・・
だから、朝倉と自分との板挟みにならないように
何も知らせなかったのかもしれません・・・」

同じ方向を向いていたはずなのに、少しの乱れが戦にまで発展してしまった・・



姉川を挟んで朝倉・浅井軍と、織田・徳川軍が対峙した。


時は流れる川のように・・・それはとどまることなく・・・・
2人を分かつ川の名は「姉川」

「ただ一言“共に来い”と・・
ただ一言、言って下されば信じられた・・・」
長政は、川の向こうに見える信長を見ながらつぶやいた・・・

「長政・・・なぜわからぬ!」
自分の考えは通じていると思っていた信長・・・
理解されない悲しみが込み上げてくる。


この姉川には、閻魔大王の姉が住むという・・・



この数日、ケンのことを見ていた市は
兄がなぜケンに裁量を与えたのか・・その意味がわかった。

「兄上と同じ言の葉を持つ者よ、
そなたが兄上の側に居てくれてよかった。
兄上は、あれでさみしがり屋なのです。
兄上のこと、よろしくお願いします。」

市の言葉がとてもうれしかった。
「お市様 この次お会いしたときは、
ちゃんとハンバーグの作り方を教えますから。」
頭を下げて、ふもとに向かって走り出した。

「次が、あれば・・・・」市は走り去るケンを見ようともせずにつぶやいた。


この、戦国一の美女と称された「お市の方」は、
その波乱に満ちた生涯を閉じるのは、この13年後のことである。享年37
ハンバーグの作り方を学んだか否かは定かではない・・・



待っているだけなんてことは出来ない性分の夏。
戦に紛れ込んできていた。

信長は敵の出かたを待つために、陣でその時を待っていた。

ケンはひたすら走り続ける・・・
足を留め、進む方向を確認していると、切っ先が首元に伸びてきた。




浅井長政の悲しみが、この話の通りなら
通じ合えない悲しみが戦いに走らせるのは仕方がないのかもしれません。
でも、言わなくても通じ合えるなんて考えるのは間違ってますね。

言っても理解されない場合が多いのに、
言わなくてもわかるわけがない!
自分の言いたいことは、自分の言葉で面と向かって話すのが一番です。

ひな人形に負けないカッコよさです!

これ、とてもおいしいんです。
ハンバーグを食べると幸せな気分になりますよね。









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