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走馬灯株式会社 第9話 杉浦克巳 あらすじ ネタバレ 橋本さとし [走馬灯株式会社]

走馬灯株式会社 第9話 DISC.9 杉浦克巳(40)

「うわ~~~~ いい景色!!二人で旅行できるなんて、夢みたい♪
ありがとね、克ちゃん♪」

白のワンピースを着た女性は、
切り立った崖の向こうに見える景色に胸を躍らせていた。
満面の笑顔を“克っちゃん”と呼ぶ男性に向けている。


無表情で この流れる映像を見ていた神沼(香椎由宇)は
ここまで見ると、映像を止めた。


走馬灯現象・・死の間際に見る記憶映像。
それが今観られるとしたら・・・・・
走馬灯株式会社



DISC.9 杉浦 克巳(40)

「大丈夫ですか?気が付きました?もう救急車が来ますからね。」

道端で倒れていた男は意識を取り戻した。
耳元で誰かの話す声は聞こえるが、体を動かすことができない・・・


「聞こえますか?お名前を教えてもらえますか?あなたの名前です。」
到着した救急隊員に声をかけられ、自分の名前にハテナが灯った。
呼びかけに答えたくても、自分の名前が浮かばない・・・



夕方になっても暑さの残る日、峯田耕平(田中要次)に連れられて
男(橋本さとし)は線路沿いの道を歩いた。

マンションの最上階の角部屋。
「杉浦」の名前が付いた扉の前まで連れて来られる。

「杉浦・・・・これが私の名前?」
「心当たりは?」
「いえ・・・・・・」

道に倒れて救急車に運ばれた男は、「杉浦」という名前の人物のようだ。
本人にとって「杉浦」という名前は借り物でしかない。
抜け落ちた記憶は深刻なようだ。

峯田診療クリニック・精神科医の峯田は、
治療の一環として杉浦を自宅に連れ帰ってくれた。
杉浦が持っていた免許証に書かれた住所は、住んでいたはずの場所のはず・・
いくら見回しても、一向に何も思い出せなかった。


「あのぅ・・これはいったいどういうことなんですか?」
「心因性の健忘症でしょう。いわゆる、記憶喪失です。
頭部に外傷はありませんし、MRI検査でも脳の器質に問題はありませんでした。
記憶を失ったのは、おそらく何らかの強いストレスやショックが原因かと思われます。」

「脳からの情報が消えてしまったわけではないと思いますし、
ゆっくり思い出しましょう。」


峯田は帰り、一人部屋に取り残された・・・
記憶を手繰る助けになるかもしれないと感じた杉浦は、
手始めに来た共同郵便箱を覗きに来てみた。
自分の部屋番号604には郵便物が溜めこまれている。
独り暮らしだったのだろうか?

思いついてマンションの下まで降りてきたが、
個人情報が一番わかる部屋の中を見て回ることにする。

部屋に置かれた家具やキッチン周りを見ると、男の一人暮らしとは考えにくい。
洗面所に行くと、歯ブラシが2本並べて置かれていた。
赤色と青色。確かに女性がいた形跡があった。

「杉浦克巳・・・」
鏡に映った自分の顔に向かって名前を呼んだ。どうもしっくりこない・・・

思い出したようにジャケットからケータイを取出し
アドレス帳をスクロールさせてみる。
登録されたどの名前もわからない・・名前が多すぎて、かえって混乱してきた。



次の朝、ゴミステーションにゴミを持ってきた。
習慣がついていたのか、足が勝手にここまで連れてきてくれた。
辺りも見回すが、やっぱり何も思い出せなかった。
側溝の近くに残っていた水たまりになぜか目がいく。
ジーーーっと見つめるが、思い出すことは一つもなかった。


無理に思い出すことを止めて、その足で散歩に出かける。
線路沿いをブラブラと、電車が行き交うのを見ながら歩く。
足が住宅地の方に向いたので、戸建て住宅を見ながら歩いていた。

目の前にジュースの缶が転がってくる。
そのジュースの缶が転がる方向を見つめて、ふと目線を上げると
建物の裏口に付いたネームプレートに目が留まった。
“走馬灯株式会社”
扉を無性に開けてみたくなり、一気に扉を開けた。


眼前に今までの記憶と思われる物が駆け巡る。
いつの間にか乗り込んでいたエレベータは、屋上階で止まった。
扉が開くが、足が先に行くことを拒んでいるようだ。乗り込んだまま動けないでいた。
開いた扉の向こうに女性の姿が見える。
見えたと思ったら、足が前に歩き出し、エレベータから下りた。


「ようこそお越しくださいました。わたくし、走馬灯株式会社の神沼と申します。」

神沼は峯田に深々とお辞儀をした。

「あのぅ・・変に思わないで欲しいんですけど、実は・・記憶を失くしてて・・」
「それでしたら、ご期待に添うことが出来ると思います。」

エレベータの扉の一番近くの部屋に通された。

「こちらは人生を顧みていただく場所でございます。」


中に入ると“杉浦克巳vol.00~vol.40”までディスクが並びられていた。

「こちらのディスクに、あなたの人生が収められております。」
「本当ですか?だったら、記憶が・・・」

「それでは杉浦克己さま。あなたの人生を心ゆくまで顧みて下さい。

神沼はvol.40のディスクをセットして、部屋を後にした。


映し出された映像は、今 寝泊りしているマンションと同じ扉。

「ただいまぁ~」
「お帰り!出張どうだった?」
「最悪だったよ。旅館の料理が超まずくてさ。」
「やっぱり妻の手料理が一番でしょ?」
「もちろん、その通り。」

この一連の雰囲気から、
自分は結婚していて、妻である人の顔を見たのだと思う。

「はい、お土産~」
「え~っ またこれ??」
「だって、由美これ好きじゃん。」

自分が妻という人のことを“由美”と呼んでいる。
由美?由美??由美???
いくら名前をつぶやいてみても、全然思い出せそうになかった。


映像を流しっぱなしにして休憩をしていた。
由美は出勤前の克巳にゴミを手渡した。
マンションの下まで持っていくのが克巳の役目だったようだ。
だから朝、ゴミ捨てに迷うことなく行けた訳だ・・

「いってらっしゃい。今日は早く帰ってきてよ。」

由美に送りだされて出勤する。
ゴミを込みステーションに捨て、であった住人の奥さんと挨拶を交わす。


グシャ・・・・

「キャー!!!!」
骨が砕けたような鈍い嫌な音が聞こえたと同時に、
さっき挨拶を交わした奥さんの悲鳴がした。
克己が声の方に振り向くと、
由美が、住んでいる階から落ちてきて倒れている。全身血まみれだ・・・
目の前に由美が落ちてきたので、スゴイ現場を見てしまった奥さんは
腰を抜かして座り込んでしまっていた。


「誰か!誰か!!!」

金切り声をあげて助けを求める声が部屋の中に響き渡る。
その声に混じって、自分の嘆き声が聞こえてきた・・


妻のはずだと思われる女性は死んだ・・・
さっきまで笑顔で自分に話しかけてくれていた人が・・・
見ていられない・・・・・克巳は映像を止めた。
なんだか怖くなった克巳は、部屋から出て行った。






マンションに戻り一番初めにしたことは、峯田への連絡。
峯田は慌てて駆けつけてくれ、真偽のほどを確かめてくれた。

「残念ですが、やはり奥さまは一週間前に このマンションから・・・
遺骨の方は、奥様の実家が引き取られたと・・・

記憶を失くされたのは、その時のショックが原因かと・・

記憶というのは不思議なもので、
思い出したくない情報を 心の奥に封じ込めたりするものなのです。」


この部屋に引っ越ししてきたばかりで、段ボールが全部ほどけていなかった。
2人のツーショット写真は、まだ箱から出されていない・・・
箱の中から取り出して、妻と自分の笑顔を見つめた。

「妻は・・どうして・・・・」

峯田に ここに来てからのことを語りながら、
湧き上がる疑問に答えがないことを嘆いた。



夕方になり、箱の中と自分のビジネスバッグを引っ掻き回し
自分の手帳を探す。

中には引っ越しの予定や仕事のことが書き込まれていて、
その中に“玲子 10:00~”と書き込まれているのを見つけた。

玲子??新たな人物の登場。
疑問を晴らすには一番の場所、走馬灯株式会社に行くことにした。
この間見たときよりも、過去の自分の行動を確かめに・・

慌てて部屋に入り、vol.39をセットした。

映し出された映像は会社で仕事をしていた。

「あの・・今日から働くことになりました野々村玲子(能世あんな)です。」

この女性が玲子・・・?
このときの自分は玲子を女として見ていた。
足からお尻へと、なめまわすように玲子の体を見ていた。


仕事が忙しい時のようで、由美のことは放ったらかしにしていた。
連絡も入れずに遅くなる日が続き、由美は怒って職場にまで連絡を入れてくる。

仕事でイライラしているのに、家のことでもイラつかされて
克巳はどうにも収まりのつかない思いをしていた。

そんなとき、克己の所に差し入れの栄養ドリンクを持って玲子が来た。
玲子はすぐに退室し、溜まった仕事をしてくれている。
残った社員は克己と玲子だけ・・


克巳は玲子の背後に忍び寄ると、おもむろに後ろから抱きしめ
強引にスカートをたくし上げる。

「いいだろ?一回ぐらい。」

強引に胸元のボタンを外し始めた。克巳は自分を止められなかった。
抵抗を続ける玲子。やがて観念したように体を預けた・・・

オフィスで玲子とむさぼるように関係を結んでしまった。


「浮気ぐらい誰でもするだろ!」
今の克巳は、由美の死んだ原因を浮気だと思っていた。


一回きりの関係だと、克巳は思っていた。
だが玲子の方は違った・・
あの日以来、玲子の付きまといが始まった。
出来るだけ顔を合わせないように避けていたが、
玲子は帰り道にまちぶせしていた。

「杉浦さん、どうして逃げるの?」

見なかったふりして足早に玲子から逃げようとしていた克巳。
そんなことはすぐにバレる。

「杉浦さんは軽い気持ちだったんだろうけど、私は本気です。
奥さんにも、ちゃんと話そうと思っています。

私は克ちゃんと、ずーっと一緒にいたい

克巳の目を、瞬きをせずじっと見つめ続ける玲子の眼差しは
背筋が凍るほど恐ろしかった。
このときは恐ろしすぎて、走って逃げだした。


早送りをしながら見進めていく。

突然、透き通るような空の景色が見えた。
再生画面に戻して見てみることにした。


「うわ~~~~ いい景色!!二人で旅行できるなんて、夢みたい♪
ありがとね、克ちゃん♪」

玲子は白のワンピースを着て、スカートを風にひるがえしていた。

「これからは、ずっと一緒に居られるんだよね??」
克巳は右腕で玲子の右肩を優しくつかみ、包み込むように抱き寄せた。
玲子は克己にとびっきりの笑顔を見せる。

「あ・・あっ・・・」

克巳は玲子の首を絞めだした。
何が起こったのかわからない玲子は、苦しさにもだえている。

「うわぁぁぁぁ・・・わぁ!!」

克巳は切り立った崖から首を絞めながら、玲子を突き落とした。

「ゴメン・・・ゴメン・・・」

謝りながらも下を覗き込む。
ピクリとも動かないうつ伏せになった玲子の姿があった。



思い出したくない、知りたくない事実がそこにあった。
恐ろしさのあまり、声を出せずに口をパクパクさせて映像を見ていた。
思い出したようにリモコンを取出し、ポーズボタンを押した。

「違う・・違う・・・違う!!!!」

恐ろしくてここから早く抜け出したい。
部屋をでていこうとしたが、扉に神沼が控えていた。
画面の内容を知られたと思い、

「なんだ!これで脅迫でもするつもりか!!」
「過去の罪を追及したりはいたしません。
人は誰しも過ちを犯すものですから・・・・」

あまりにも冷静に答える神沼のことも怖くなり、慌てて部屋を出た。


家に帰る道すがら、巡回している警官が自転車を走らせていた。
自分が人殺しだったと知ってから、警官の姿を見ただけでも姿を隠してしまう。


ピリリリリリリ・・・・ケータイ電話が鳴った。
今さらかけてくる人はいないと思ったが、とりあえず出てみることにした。

「かっちゃん・・・・」

この呼び方をするのは玲子だけ・・
電話を投げ捨てて、あたりを見回した。

そういえば・・・
走馬灯株式会社に行った目的を果たしていなかったことを思いだし
もう一度行ってみることにした。



「野々村玲子っていう人の人生を見せてくれ!」

神沼の顔を見るなりリクエストをし、“野々村玲子vol.30”をセットした。


映し出されたのは、2人で旅行に出かけたとき・・

「これからは、ずっと一緒に居られるんだよね??」

玲子は克己に包むように抱き寄せられた。
最高に幸せを感じていたその時、突然首を絞められた。

そのまま切り立った崖に突き飛ばされた。

ここで映像はいったん切れた。
克巳は玲子の死を確信し、本当に自分のしたことなのだと思っていた。
映像には続きがあった。玲子は意識を失っただけで死んでいなかった。

「痛い・・痛い・・・・」

うめき声のようにつぶやきながら、
近くに落ちていた自分のバッグの中から、手鏡を取りだした。
ヒビの入った鏡に映った玲子の顔半分は、ただれて血まみれ・・

「どうして・・・克ちゃん!!!!!
痛い・・痛いよ・・・痛いよ・・・・」

玲子の形相に驚き、酒を煽るように飲んで恐怖を和らげようとしたが、
ふと気づいた・・・玲子が生きていたことに・・

「まさか・・・・・」


「ちょっと、ゴミ捨ててって!
「いってらっしゃい。今日は早く帰ってきてよ。」
由美の声が聞こえる。

悪夢が起こったあの日・・


玲子は克己が仕事に出たのを見計らって、呼び鈴を鳴らした。
出てくる前に柱の陰に隠れる。
由美はキョロキョロと呼び鈴を鳴らした人を探すが、誰もいなかった。
ちょうどゴミステーションは、覗き込むと見える位置にあり
由美は克己の姿を見ようと手すりに乗り出す。


玲子は背後から忍び寄り 由美の肩を掴むと、そのまま突き飛ばした。


グシャ・・・・

「キャー!!!!」悲鳴が聞こえる・・

この状況の裏返しを数日前に見ていた克巳は犯人を知った。
全ては自分が蒔いた種・・・

「由美が死んだのも、記憶がなかったのも、全部俺のせいだ・・」

絞り出すようにつぶやいた克巳。
悔やんでも由美は戻ってこない・・


映像は流したままになっていた。今はリアルタイムで玲子の行動が見れた。
克己のマンション付近を歩いて、走馬灯株式会社までたどり着いた。
部屋の入り口で神沼が挨拶をしているのをすり抜け・・・

「これ、今の玲子・・・?」

部屋の扉が開いた。部屋の中に靴音が鳴り響く。
扉の方を見るのが怖かった。でも、おそるおそる振り返るとそこに!!

「かっちゃん・・・フフフフフフフフフフ」




たった一度の過ちが、思わぬ方に転がっていく・・
オフィスでの関係を、ここまで重く取られるのは気持ちが悪いですが
一緒に働いていて、粘着質な女性だと気付かなかったのでしょうか?
どうして身近な女性に手を出したんでしょうね。
とても怖い回でした。


地味に美味しいお土産もいいですが、
東京スカイツリーがパッケージなら、話が弾みます。


これはマジ美味でした。





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