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家族八景 第2話 水蜜桃 あらすじ ネタバレ 木南晴夏 [家族八景]

家族八景 第2話 「水蜜桃」

最初に桐生家の家族構成を説明しよう。
桐生家の主人、桐生 勝美 (田山涼成)は、定年退職してから2年。
妻、照子 (千葉雅子)は姉さん女房で、夫のことを軽く見ている。
子供、竜一 (正名僕蔵)は、この家での唯一の稼ぎ頭で長男。
子供、忠二 (須賀健太)は、高校生で二男。
竜一の妻、綾子 (佐藤寛子)は、義理父のことを疎ましく思っている。
竜一と綾子の子、彰 (池澤巧)は、小学生。


今日の桐生家の夕食はすき焼き。
家政婦の火田 七瀬(木南晴夏)はすき焼きを照子、綾子、彰の前で作っていた。
彰は歯磨きが大好きで、歯磨きを母親にしつこいぐらいにねだる。
そんな彰を叱り飛ばす綾子。
その怒った言葉じりで七瀬にみんなを呼ぶように言う。

「すき焼きの準備ができました!」近所にも聞こえるぐらいの大きい声。

この言葉とほぼ同時ぐらいに帰宅してきたのは忠二。
部活が長引いたので帰宅が遅くなってしまった。
忠二は柔道部。青あざが絶えない。
子供のころからひ弱だった忠二が柔道をしていることを感謝する照子。


私は人の心が読める家政婦。心を読むとき、その人が私にどう見えるか?
それはその家によってさまざま。桐生家ではどうやら花が咲くよう。
頭やメガネ。頭の全体を覆い尽くすように咲いたり、鼻の穴から一輪咲いたりする。


忠二の心の中を読むと、本当の部活(切手収集クラブ)のことは言えずにいて、
無理やり柔道部の話をするのに疲れている。それでも無理に話をしていた。

照子と綾子は忠二が柔道部でないことに、とっくに気づいていた。
無理に話をする忠二の話に付き合うのがしんどくて、綾子は忠二に竜一を呼んでもらう。

“疲れる、騙されているフリは疲れる”綾子が思っていて、
“疲れるわけないだろ!切手集めで。”照子も思っていた。
“歯が磨きたい!歯が磨きたい!”
彰が口に出していることと、心の中は一緒だった。
子供は裏表がなく、とても素直だ。

竜一が食卓についた。

私がこの桐生家の家政婦になって、一週間経つ。
この家族の悪意はただ一人に集中的に向けられていた。

桐生家主人、勝美。
定年退職してから2年経つのに一日中家の中をうろうろするだけ。
ヒマなら外に働きに出ればいいのにと、みんなはこう思っていた。
勝美は動作がゆっくりで、なかなか席につかない。忠二は父にイラついていた。

勝美が席につくやいなや、箸を持ちすき焼きの肉を取っていく。
遅ればせながら勝美が肉に手を伸ばそうとすると、照子が声をかけ、箸が止まる。

悪意に満ちた食卓・・・ 七瀬は勝美に同情し声をかける。
勝美が考えているのはすき焼きに残っている肉・・誰の話も聞こうとしない。

脳内は職場で社員一丸となってプロジェクトにあたっているときのことを浮かべていた。
勝美にとっての栄光の日々。至福の時。

動きが止まった勝美に照子は声をかける。幸せが壊れた。

彰はおもむろに
「おじいちゃん。一日中家でぶらぶらしているとアホになるぞ!
家の中でふらふらしていると、頭の中もふらふらするぞ!」

突拍子もないことをいう彰をたしなめる綾子。
“よく言った”家族全員そう思っていた。


忠二が柔道部でないと気づいているのに、わざと腕立て伏せをして見せる綾子。
仕方がなく忠二も腕立て伏せをするが、一回も満足にできない。

この様子をぼんやりと勝美が見ていた。


竜一夫婦の部屋の前の廊下を掃除していた七瀬。
障子の隙間から彰が昼寝をしているのが見えた。
その横で夫婦がいちゃいちゃしている光景も。

何も見なかったことにして、掃除を続ける。
ひと気を感じて顔をあげると、夫婦のいちゃいちゃ声を勝美が聞いていた。



「いやですよ!いや!あなた自分を幾つだと思っているんですか?」
照子が真夜中に声を荒げる。


不眠症の照子は、クラシックのカラヤンを流して
ようやく眠れそうになっていたところだった。
そこを迫っていった勝美。大声で拒絶される。
照子は教室の外で立たされる子供のように、勝美を部屋の外に立たせる。
うなだれてその場に立っていた。その後、階段に腰を下ろし手紙を読む。

この手紙はアルバイト不採用通知。
若いときに警備員のバイトをしていて、
犯人を捕まえたと思ったら社長で、社長と思った人が犯人だったことがあって
警備の仕事だけはつきたくないと思っていたが、そこを曲げて応募したのに不採用・・・
通知書を破り捨てるが怒りは収まらない。

そんな勝美のところに、目をこすりながら彰がやってきた。勝美にお話をねだる。
足もとに挟み込むように座らせ、後ろから抱きかかえるように話を始めた。

勝美がしてくれる昔話はいろんな話が混じっていて、
その間違ったところを一つづつ突っ込む。
そのうちに彰は眠ってしまった。

そんな光景を七瀬はほほえましく見ていた。


次の日、勝美はグローブとバットを持って、彰をキャッチボールに誘おうとしていた。
また障子の隙間から覗く。

手には旅行パンフレット。
「誘わなくてもいいかな?」「下手に誘うと付いてきちゃう。」
自分たち家族だけでの旅行を計画していた。
でも、竜一はその気にはなれないでいた。

「彰はおじいちゃんに旅行に来て欲しい?」綾子が彰に問うと、
「おじいちゃん、きらーーい。だって短くした桃太郎の話しかしないんだもん。」

孫から嫌われていると勝美は知ってしまった。
唯一の心の拠り所が無くなってしまった・・・


彰をキャッチボールに誘うことなく、縁側で小さくなって座っている勝美の姿を見て
七瀬は同情し、今日特売で買ったモモを剥いてきた。

勝美にフォークを握らせ、自分も一切れ口に入れる。
勝美は七瀬が食べている口元に反応。目つきが変わる。
慌てて心の中を覗くが、何も語っていなかった。


夕食は焼き肉。みんなは変わりなくがつがつと肉を口に運んでいた。
だが、勝美は動かない。

心の中の勝美は、目を見開いて七瀬を見ている。
肉でも食べたいのだろうと思い、
七瀬はトングと、さっき勝美が食べなかったモモを持って勝美に近づく。

肉を皿に移そうとしたとき、勝美は突然立ち上がり、一切れのモモを舌で舐めまわす。
“ふざけやがって!邪魔者扱いしやがって!バカにしやがって!
俺をなんだと思ってるんだ!”

「めぇ~~」奇声を発すると、七瀬の胸元を見ながら「モモ、モモ・・」



湯船に浸かりながら、さっきの勝美の目つきを思い出していた。
自分を見ながら「モモ・・・」と繰り返していたのも怖くてたまらない。
そのときに扉の前に人影を感じた。

竜一、綾子、彰、忠二が旅行に出かけた。
玄関で見送る照子と七瀬。七瀬は背後に気配を感じた。
柱の陰から勝美がこっちを見ている。
“今夜だ、今夜しかない”

この心の声を聴いたことで知ってしまった。
今夜、勝美が自分を襲いに来ることに・・・怖くてたまらない。
部屋の扉が開かないようにクギで打ち付けた。


安易に同情して優しくしてしまったのがあだになったのかもしれない。
いま反省しても遅い。自分の身は自分で守るしかない。

眠れぬ夜が始まった・・・
扉の向こうから“モモ、モモ”と心の声が響く。
“モモを食べるんだ。それがいま俺に出来る仕事だ!”

そう聞こえたと思ったら、扉を壊して部屋に入り込んできた。
少しずつ七瀬の方ににじり寄ってくる・

「今黙って出ていけば、誰にも言わないであげるわ。」
勝美の動きが一瞬止まる。

“嘘だ!今で出て行こうものなら、この娘はみんなに言いふらすに決まっている!”

力任せに七瀬の布団を剥ぎ取り、パジャマの上着を強引に引きちぎった。
“モモだ、水蜜桃だ。この娘は水蜜桃だ。
あぁ、この熟し切っていない、白くて瑞々しい水蜜桃を食べれば、
俺はもう一度立ち上がれるんだ”

「私は水蜜桃なんかじゃないわ。」勝美の心の声に言葉で返す。
勝美は心の中で考えていたことを言われて驚く。

動きが止まったので、たたみかけるように
「私を食べても、あなたは立ち上がることなんかできない。」

“俺、いつ喋った?”
心の中で勝美が思っているだけなのに、その問いかけに言葉で返す。
「いいえ、しゃべってなんかいない。口に出してもいない。」

この決定的な言葉に腰を抜かし、その場に倒れこんでしまった。
形勢逆転。七瀬は勝美に少しづつ近づく。

“やめろ!読唇術だ。こんなのはただの読唇術だ”
「いいえ、読唇術なんかじゃないわ。」
“さ、さとるのバケモノだ!
ガキの頃に、お婆ちゃんから聞かされたさとるのバケモノだ!”

「そうよ。さとるのバケモノよ。
あなたが子どもの頃にお婆ちゃんから聞かされた、さとるのバケモノよ。」

“一つ目のお化け!お婆ちゃん、居た!
村人の心を次々言い当てて、村人は考えることが無くなって、
村人の心が空白になったら、空白の心を食べてしまうさとるのバケモノ。
お婆ちゃん!本当にいたよ!!!”

七瀬は廊下まで這いずり出た勝美を追いつめる。

“ごめんなさい、ごめんなさい。悪いのは妻の照子だ。
照子が僕を拒んでばかりいるからだ。照子が全部悪いんだ!”

「ずるいわよ。自分がやっていることを妻のせいにして、
ちゃんと口に出してしゃべりなさい」

勝美をこのまま放っておけない。中途半端にしたら能力がみんなに知られてしまう。
どんどん勝美を追いつめる。
階段下まで追いつめたところで、大きな物音で目覚める照子。
階段下で、恐怖のあまり勝美は自己を閉ざしてしまった。

勝美は照子の顔を見て
「僕ね、僕ね、お婆ちゃんに会いに行くんだ!」
とっくに死んでしまったお婆ちゃんに会いに行くという・・・
でも、無邪気に話す勝美の顔を見て、照子はかわいいと思った。

「かわいいわ。ずっとこのままでいなさい。」



心の中が他人に知られる。
無意識の行為を知られるのはかなり恥ずかしいことだろう。
一発でバレる。「こいつアホだ」と。


今回の食卓。すっごいおいしそうでした。
すき焼きなんて、この頃あんまり口にしていなくて・・・
この肉だと肉感が抜群だろうなぁ・・









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